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為替相場まとめ1月20日から1月24日の週

為替 

 20日からの週は、ドル安と円安の動きが広がった。1月20日にトランプ米大統領就任式が行われ、いよいよトランプ2.0が始動した。市場はトランプ関税政策の動向に神経を尖らせ、就任初日は乱高下ともいえる値動きとなった。メキシコとカナダに2月1日から25%関税を課すとの報道が警戒感を高める場面があった。しかし、米中首脳電話会談では、友好的な話し合いが行われたようだ。トランプ大統領は「どちらかと言えば中国に対し関税を使わずに済むのが望ましい」と述べた。ダボス会議でのトランプ演説では、原油価格引き下げ、FRBに利下げなどが要請された。ロシアや北朝鮮との話し合いの可能性も示唆されている。次第にトランプ政策が経済に与える悪影響への警戒感は後退、株高とともにトランプトレードの巻き戻しとなるドル売りが優勢になった。円相場にとっては日銀金融政策決定会合が注目材料だった。金曜日の発表では予想通り25bp利上げが発表され、17年ぶりの0.50%へと誘導目標が引き上げられた。展望レポートでは各期間にわたってインフレ予測が引き上げられた。植田日銀総裁会見では、「経済・物価見通し実現なら引き続き利上げで緩和度合い調整」としたことが円買いを誘った。一方、「緩和度合い調整ペースやタイミングは経済・物価次第、予断は持っていない」と具体的な内容を避けたことで円高は一服した。週を通してみると、全般にはドル売りが優勢だった。ユーロドルは1.02台から一時1.05台乗せとパリティー水準から遠ざかった。ポンドドルは1.21台から1.24台乗せへと水準を上げた。円相場はドル円が154円台から156円台で方向感なく上下動。クロス円は総じて堅調な足取りを示した。ユーロ円は160円台から163円台へ、ポンド円は190円付近から193円台へと上昇した。

(20日)
 東京市場では、ドル円が156円を挟んで振幅。早朝に一時156.58付近まで強含んだあと、人民元高・ドル安の流れを背景に軟化し、155.71付近まで下落した。午後は下げが一服して156円台を回復しており、方向性の定まらない動き。日本時間今夜に予定されているトランプ米大統領の就任式を前に、ポジション調整を交えた値動きだった。ユーロ円は朝から160円半ばを挟んだ揉み合いが続いた。ユーロドルは1.0308付近まで、ポンドドルは1.2215付近まで上昇。ドルストレートは軒並みドル安傾向をみせていた。

 ロンドン市場では、やや円安・ドル安に振れている。トランプ大統領就任式を控えて基本的には様子見姿勢となっているが、欧州株や米株先物・時間外取引が堅調に推移しており、リスク動向は落ち着いている。トランプ次期米大統領と中国の習近平国家主席の電話会談を受けて米中対立への警戒感が緩和され、中国株が上昇した雰囲気を受け継いでいるようだ。ビットコインが最高値を更新するなどトランプ政策への期待感も垣間見られている。ドル円は東京市場で一時155円台後半まで下落したが、ロンドン市場では156円台を回復。クロス円ではユーロ円が特に堅調で、160円台半ばから161円台半ば付近まで買われている。ホルツマン・オーストリア中銀総裁が「1月の利下げは既定の結論ではない」とインフレが高進する場合を警戒していた。ユーロは対ドルでも1.03台乗せへと上昇、対ポンドでも上昇。ポンドドルは1.21台後半から1.22台前半で振幅、ポンド円は190円台前半から後半で振幅も、いずれも先週末終値からはドル安・円安方向に振れている。NY市場はキング牧師生誕記念日祝日のため米株式・債券市場が休場となる。トランプ大統領は就任式のあと演説を行う予定。

 NY市場はキング牧師生誕記念日祝日のため米株式・債券市場が休場。トランプ大統領就任式で関税発動が見送られ、就任演説でも関税についての言及が少なかったこともあって、ドルが全面安となった。ドル円は156円台半ばから155円台半ばへと下落した。ユーロドルは1.03台前半から1.04台乗せへと急伸した。

(21日)
 東京市場は、トランプ相場でドル円が乱高下。前日NY時間のドル安の動きを受けて、ドル円は154.91近辺まで一段安。155.10台に小戻ししたところに、トランプ政権が2月1日発動でメキシコとカナダへの25%関税と報じられた。一気にドルが買われ、ドル円は156.23近辺まで急伸。ドル高一服後はドル売り・円買いが強まった。対中関税への警戒感が見られたことが背景。その後中国への関税の話が出なかったことでドルの売り戻しが加わり、154.78近辺まで下落。足元では155.40台まで下げ渋っている。関税発動が報じられたことで、メキシコペソとカナダドルが急落、ドル買いの動きを広げた。ユーロドルは1.04付近が重くなり、1.03台半ばにかけて売買が交錯した。ユーロ円は朝方の162円台前半から一時161円台割れまで下落した。

 ロンドン市場では、再びドルが買われている。東京午前から昼にかけてはドル円が乱高下した。トランプ米大統領は2月1日までにカナダとメキシコに25%の関税課す計画との報道にドルが急伸。その後、リスク警戒とともに急反落した経緯があった。この時のレンジが154.78から156.23まで。しかし、東京午後からロンドン時間にかけては再びドルが買われており、ドル円は156円付近へと上昇している。ユーロドルは1.04台前半から1.03台半ばへ、ポンドドルは1.23台前半から1.22台前半へと下げてきている。米10年債利回りが4.53%付近から4.58%台へと上昇しており、ドル買い圧力となった面も。また、米株先物・時間外取引が堅調に推移しており、欧州株も前日終値付近で落ち着いた取引となっている。ドル円とともにクロス円にも買い戻しの動きが入っている。東京市場での乱高下は一服した格好。

 NY市場では、値動きが落ち着いた。ドル円は東京時間に激しく上下動し、一時154円台に下落する場面も見られていたが、NY時間にかけて一時156円付近まで戻す場面も見られた。NY時間に入ってドル売りが優勢となったが、同時に円売りも見られ、ドル円は155円台で膠着した。円については今週の日銀決定会合が注目され、一部報道で日銀が今週追加利上げを決定する方向と伝わっていた。トランプ大統領の就任後の金融市場で大きな波乱が見られず、環境がほぼ整ったと伝えている。ただ、円高の反応は見られず、逆に円安の反応が見られていた。ユーロドルは1.04台に買い戻された。ECBの利下げについて情勢に変化はない。来週のECB理事会での25bpの利下げがほぼ確実視されているほか、その後についても理事会ごとに利下げ実施との見方もECB理事のビルロワドガロー仏中銀総裁から出ていた。夏までに中銀預金金利は2.00%までの低下の可能性に言及していた。ポンドドルも1.23台に買い戻された。ただ、英雇用統計では12月雇用者数が予想以上に減少、加えて財政問題に対する懸念も根強い。ポンド自体には売り圧力がかかっている。

(22日)
 東京市場は、売買交錯もドル高・円安の動きがやや優勢。朝方はドル高が進んだ。初日見送られた対中関税について、合成オピオイドであるフェンタニルの米国流入に対する報復として10%の追加関税を行う意向を示したことがドル買いにつながった。ドル円は155.40台から155.80台へと上昇。ただ、当初の60%関税などに比べてインパクトが抑えられており、ドル買い一服後は反落。上昇分を解消して155.36近辺まで下げる場面が見られた。午後には155.90台まで下げ渋っている。ユーロドルは1.0430付近から一時1.0393近辺まで下落。EUに対して貿易不均衡に対する警告を示したことがユーロ売りにつながった。その後は1.04付近で揉み合った。世界的な株高を背景にクロス円は堅調。ユーロ円は161.80台から162.30台まで、ポンド円は191.80台から192.40付近まで上昇。

 ロンドン市場では、円安・ドル安の動き。トランプ米大統領の関税政策に対する市場反応は次第に落ち着いてきている。きょうはEUにも関税を課すと報じられたが、むしろ欧州株は堅調に推移、ユーロが豪ドルとともに円売りやドル売りをけん引している。欧州株では独DAX指数が大幅高となっており、史上最高値を更新。ダボス会議に関連したECB高官らの発言が続々と報じられているが、いずれも来週の利下げについて肯定的な見方を示している。年内に金利が2%に低下、毎回着実に25bp利下げとの見方が多いようだ。また、ラガルド総裁をはじめとしてトランプ関税の影響が比較的限定的にとどまるとの見方もでていた。ユーロドルは一時1.0457近辺まで買われ、昨年末以来の高値水準となった。対円や対ポンドでもユーロは堅調。ユーロ円は162円台前半から後半へ上昇。ポンドドルは1.23台前半から後半へ、ポンド円は191円台後半から192円台後半へと買われている。ユーロポンドは0.84台後半に高止まりしている。ドル円は一時156円台乗せも、買いは続かず155円台後半で揉み合っているが、前日NY終値よりは円安の水準。

 NY市場では、ドル円が156円台後半へと上昇。ドル自体に買い戻しが出たことや、株高・円安の動きも見られ、ドル円は二重の追い風を受けた。ドルに関してはトランプ大統領の関税の行方次第のところだが、今後エスカレートするようであれば、ドル買いが強まるとの見方も出ている。ただ、いまのところは段階を踏んだ措置との見方が市場を支援しており、ドルは上げを一服させている。その一方で、米大手銀の最新ファンドマネジャー調査では、投資家は2025年にドルが最もパフォーマンスが良いと予想している。円については週末の日銀決定会合待ちの雰囲気もある。市場は利上げを確実視しているが、ほぼ織り込み済みで、当日は次のヒントを探る会合になりそうだ。ユーロドルは1.0460まで買われたあとは、戻り売りに押されている。一部ストラテジストは、基本的な要素は依然ドル高を示唆しているが、ユーロの極端なショートポジションは最近の為替相場の動きを受けて一部解消される可能性があると指摘した。ポンドドルはロンドン時間に一時1.2375ドル付近まで上昇したものの、NY時間にかけて1.23台前半に伸び悩む展開。

(23日)
 東京市場は、円売りが優勢。ドル円は午前に156.29近辺まで軟化したあと、午後には一転して26+86付近まで買われた。前日高値を上回り、15日以来およそ1週間ぶりの高値水準となった。日経平均が約2週間ぶりに節目の4万円台を回復する場面があったことから、リスク選好の円売りが優勢となった。その後は156円台半ばまで押し戻されている。日本時間今夜のトランプ米大統領によるダボス会議での演説や、明日の日銀金融政策決定会合の結果公表を控え、積極的な取引を手控える気分が強く、方向性の定まらない展開となった。ユーロ円はドル円同様に午後に円安傾向となり、一時163.13付近まで強含んだ。ポンド円も一時193円台を回復する場面があったが、その後は伸び悩んでいる。ユーロドルは1.04台前半と前日終値付近で落ち着いた値動き。

 ロンドン市場では、ややドル安の動き。ドル円は東京午後に156.75近辺まで買われたあとは、売りに押されている。ロンドン序盤には156.21近辺まで下押しされた。ユーロドルは1.0390近辺まで軟化したあとは上昇に転じて高値を1.0420近辺に更新。ポンドドルも1.2294近辺まで下げたあと、1.2331近辺まで買われた。ただ、足元ではドル安の動きも一服しており、いずれの通貨ペアも前日NY終値付近へと戻してきている。ユーロ対ポンドの動きも方向性は示されていない。このあと日本時間24日午前1時にトランプ米大統領がダボス会議で演説を行う。何が出てくるのか分からない面もあり、市場は事前のポジションを取りにくい状況になっているようだ。米10年債利回りは4.59%台から4.63%付近へと上昇。欧州株は高安まちまち。米株先物・時間外取引では前日の上昇から反落しているが、ダウ先物は上げに転じている。

 NY市場では、ドル円が155円台に下落した。米新規失業保険申請件数が予想を上回ったことがドル売り反応につながった。さらに、トランプ大統領がダボス会議でオンライン演説でドルが一段安となった。大統領は利下げとOPECへの原油価格引き下げを要請すると述べたことに敏感に反応している。また、関税を課して製造業を米国に戻す意向も繰り返し言及した。円に関して市場は、明日の日銀決定会合に注目している。利上げがほぼ確実と見られているが、市場はそれを既に十分に織り込んでおり、次の行動に向けての植田総裁のヒントと円相場の反応に注目しているようだ。ただ、植田総裁はデータ次第の慎重姿勢を示すと見られており、ハト派的利上げで円高への期待も高まっていない。今後、円高のシナリオがあるとすれば、日銀のタカ派サプライズか、トランプ大統領の貿易政策に絡んだリスク回避が想定される。前半のユーロドルは1.03台に値を落としていたが、トランプ大統領のスピーチを受けて1.04台に戻している。ポンドドルも買い戻しが優勢となり、一時1.2375ル付近まで上昇する場面が見られた。

(24日)
 東京市場では、ドル円が下落。午前にトランプ米大統領が対中関税に消極的な発言をしたことからドル売りが優勢となり、156円割れに沈んだ。昼過ぎに発表された日銀金融政策決定会合の結果では、市場予想通り25bpの利上げが決定された。また、展望レポートで消費者物価見通しが上方修正されたことを受けて、早期追加利上げ観測から円高に振れ、一時155.01付近まで急落した。下げ一服後は、午後3時半からの植田日銀総裁の会見を控えて戻りは限定的となり、155円台前半で小動きとなった。クロス円も軒並み円高となり、ユーロ円は一時162円台を割り込んだ。ユーロドルはドル安の動きで、午後に1.0458近辺まで上昇した。

 ロンドン市場では、円安とドル安の動きが優勢。ドル円は日銀決定会合を受けた円高の動きを戻してきている。決定会合では予想通り政策金利を0.50%引き上げた。展望リポートでインフレ見通しが引き上げられ、声明では「経済・物価見通しが実現していく確度が高まっている」「見通しが実現していけば引き続き政策金利を引き上げていく」としたことが円買い反応を広げた。ドル円は156円台前半から155円近くまで下落。続く植田日銀総裁会見では「経済・物価見通し実現なら引き続き利上げで緩和度合い調整」としたことが追加利上げを想起させ155円台割れから154.85近辺まで下押しされた。しかし、「緩和度合い調整ペースやタイミングは経済・物価次第、予断は持っていない」と具体的な時期などについてぼかしたことで円高は一服した。ロンドン時間には156円付近へと買い戻されている。クロス円も堅調。ユーロ円は162円付近から163円台後半へ、ポンド円は192円付近から194円近くまで買われている。東京市場からのドル売りも継続し、ユーロドルは1.04台前半から1.05台乗せへ、ポンドドルは1.23台から1.24台半ばへと買われている。

 NY市場はロンドン市場の流れが継続し、ドル高円安でスタートした。ドル円は東京午前の高値を超え156円58銭を付けた。その後いったん高値圏もみ合いとなったが、ロンドン市場から上昇を続けていた米債利回りが急低下したことをきっかけにドル売りとなった。23時45分の米PMIは製造業が予想を上回り、節目の50を超える好結果となったが、非製造業及びコンポジットが予想及び前回値を大きく下回る弱さとなったこと、午前0時のミシガン大学消費者信頼感指数確報値が速報値から下方修正されたことなどを嫌気した。米債利回りがロンドン朝の水準を割り込んで低下する中で、ドル円は155円50銭近くと高値から約1円の下げとなっている。ユーロドルがロンドン午前の高値を超えて、今日の高値を更新する1.0521まで上昇。ポンドドルは1.2502と、今日の上値を大きく更新する形となった。週末を前にドル高は少し調整も、ポンドドルは1.2480前後と高値圏推移。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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