ドル円、一時153円台前半まで下落 日米の金融政策を前にした持ち高調整が中心=NY為替概況
ドル円、一時153円台前半まで下落 日米の金融政策を前にした持ち高調整が中心=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は売りが優勢となり、一時153円台前半まで下げ幅を拡大する場面もみられた。この日発表の11月の米小売売上高の発表をきっかけに本日は戻り売りが強まったが、日米の金融政策を前にした持ち高調整が中心と思われる。
市場にはFOMCを受けたドル高期待が広がり、ドル円も154円台半ばまで買い戻されていた。ただ、明日のFOMCでの反応についてアナリストからは、FRBが市場の期待通りに利下げペースを鈍化させるシグナルを送ったとしても、ドル相場はほとんど動かない可能性があるとの見方も出ていた。
FRBは利下げに慎重になるとの観測が市場に広がる中、これまでドルが堅調に推移していたことを踏まえると、「噂で買って事実で売る」という反応も排除できないという。今回のFOMCはドルに大きな影響を与えない可能性も留意されると指摘している。
一方、日銀も今週政策決定会合を開催するが、今回は利上げを見送るが、1月には利上げを実施したい意向を示唆するのではとも見られている。一方でサプライズ利上げの可能性も若干警戒されている状況。今回の日米の政策決定を経て、ドル円は再び155-160円のゾーンにレベルシフトするとの見方もあるようだ。
ユーロドルは1.05ドル付近での狭い範囲での値動きに終始。上値は依然として重いものの、下値を試す動きも一服している。FRBも英中銀も足元のインフレや強い雇用から、ここに来て利下げに慎重になっている印象が強い。しかし、ECBにはそれはなく、追加利下げ期待が依然として強い。本日はECB理事のレーン・フィンランド中銀総裁の発言が伝わっていたが、インフレが目標とする2%付近で安定し始めているのに伴い、今後も利下げを継続するとの見解を示していた。「金融政策の方向性は今や明確だ。利下げの速度と規模は入手するデータと包括的な分析に基づき毎回の会合ごとに決定する」とも述べている。
政策金利は来年半ばまでに2.00%に達すると見込む一方、一部の投資家はより積極的な利下げによって1.75%程度まで引き下げられると想定している。レーン氏は中立金利は来年上期に到達する公算が大きいと見ているようだ。
ポンドは買いが強まり、対ドル、ユーロで上昇。ポンドドルは1.27ドル台を回復し、21日線を上抜く展開。この日の英雇用統計で賞与を除く週平均賃金が前年比5.2%上昇と前回から上昇幅が拡大し予想も上回ったことがポンドを支援した。
明日は11月の英消費者物価指数(CPI)の発表があるが、英中銀が注目しているサービスインフレは前年比5.1%が予想されている。その前に本日の賃金統計を受けて、市場は今週の金融政策委員会(MPC)での据え置きに確信を得たようだ。
ただし、来年についての見方は様々。ベイリー英中銀総裁は来年4回の利下げの可能性を示唆していることもあり、四半期に1度のペースで利下げが行われるとの見方も多い。一方、市場は来年の利下げの可能性を過小評価しているとの指摘もある。長期的な英経済の背景は弱まっており、来年には労働市場が緩和する可能性が高いという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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