【これからの見通し】トランプトレードの熱狂は冷却も、あらためてインフレ圧力を消化する段階に
【これからの見通し】トランプトレードの熱狂は冷却も、あらためてインフレ圧力を消化する段階に
今週は米大統領選に翻弄される相場展開となっている。先週まではトランプ氏優勢とみられていたが、先週末の調査ではハリス氏との支持率が拮抗を伝えらえ市場の見方は混乱した。週初は前週でのドル高が調整される動きがみられた。しかし、選挙後の開票結果では続々とトランプ氏勝利が伝えられ、市場は熱を帯びた形でトランプトレンドを強めた。高関税や国内減税、拡張的政策などがインフレ圧力となり、ドル高、債券利回り上昇を招来した。また、米株は急上昇した。しかし、米FOMCを控えてその動きは一巡。市場は冷静さを取り戻すとともに、熱狂相場に対する疲れが見える状況となっている。
この後のマーケットでは冷静にトランプ次期大統領の政策を分析する段階に入ってきそうだ。その指針として市場関係者の専門家の見方が出始めている。独大手銀行からは、ECBの最終到達金利水準の見通しを従来の2.25%から1.50%へと大幅に下方修正した。トランプ氏の関税引き上げの可能性が、来年のユーロ圏経済を圧迫すること懸念としていた。当の米国のFOMCではトランプ政策に関する言及は避けられていた。ただ、雇用状況などをにらみつつ、利下げを急がない姿勢は示されていた。まだ、見方は固まってこないものの、大方は上向きのインフレリスクを意識する論調が多いようだ。
この後の海外市場で発表される経済指標は、カナダ雇用統計(10月)、米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(11月)など。ドル相場全般に与えるインパクトはそれほど期待できない指標群となっている。カナダ雇用統計では失業率が6.6%と前回の6.5%から上昇する見込み。雇用者数は2.72万人増と前回の4.67万人増から鈍化する見込み。米ミシガン大消費者信頼感・速報値は71.0と前回の70.5から上昇する見込み。予想通りであれば、ややドル買い圧力に作用しそうだ。
発言イベント関連では、ピル英中銀チーフエコノミストが金融政策について説明する。ボウマンFRB理事が銀行について講演を行う。ピル氏から今後の金利や経済見通しが示されることが期待されよう。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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