【これからの見通し】中東情勢が一段と緊迫化、再び落ち着かない相場展開に
【これからの見通し】中東情勢が一段と緊迫化、再び落ち着かない相場展開に
足元の相場はリスク選好なのか、それともリスク回避なのか、なかなかセンチメントが定まらない状況となっている。中東情勢が一段と緊迫化してきていることが目先のリスク回避の動きにつながっている。イスラエルとハマス、イスラエルとヒズボラ、そしてイランとイスラエルの報復合戦、その裏には米国や中国といった世界的な陣営の対立が根深く存在している。現時点では、自体が収束する方向に向かっているとは言い難い状況だ。目の前の市場では世界的に株安となっている。
一方で、先週から今週前半にかけては中国の大胆な景気刺激策が続々と打ち出されたことが、上海株や香港株の大幅連騰につながった。きょうも香港株が急続伸している。ただ、リスク選好の動きは中東リスクの台頭でやや影を潜めてきているようだ。
また、長い目でみれば、欧州をはじめとして米国も利下げを開始している。これは、景気の下支えとして好材料となっている。大幅利下げをするほど景気が冷えているのか、との悲観的な見方もあったが、予防的な措置として次第に市場は歓迎した経緯がある。日銀は利上げ路線を進める方針だが、そのペースについては新政権とのすり合わせをおこないつつ、緩やかになるとの見方が優勢。金利面からは経済的なショックはなさそうだ。
中東リスク、中国景気回復期待、世界的な利下げ開始と様々な強弱材料が交錯する相場展開となっている。市場ごとに方向性が変化する落ち着かない状況が続きそうだ。
金曜日には米雇用統計が発表される。次回の米FOMCでの利下げ幅観測に大きな影響を与える注目指標だ。きょうは、その前哨戦として米ADP雇用統計(9月)が発表される。前回は9.9万人増と落ち込んだが、今回の市場予想は12.5万人増とやや回復する見込み。そのほかの米経済統計はMBA住宅ローン申請指数(09/21 - 09/27)が発表されるくらいだ。ロンドン午前にはユーロ圏失業率(8月)、NY朝方にはブラジル鉱工業生産指数(8月)に発表が予定されている。
発言イベント関連では、欧州通貨金融フォーラム(SUERF)でECB当局者の予定が多く組まれている。カザークス・ラトビア中銀総裁、ドンブロウスキス欧州委員会上級副委員長、デギンドスECB副総裁など。また、ECB・NY連銀・カナダ中銀合同会議にはレーンECBチーフエコノミストが出席する。シュナーベルECB理事がイベント「ユーロ圏:停滞からの脱却」で講演を行う。米FRB関連ではハマック・クリーブランド連銀総裁、ムサレム・セントルイス連銀総裁、ボウマンFRB理事、バーキン・リッチモンド連銀総裁などがイベント会議でスピーチを行う。その他では、英中銀金融行政委員会(FPC)議事録 、米週間石油在庫統計などが発表される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。