【これからの見通し】パウエル米FRB議長の発言に注目
【これからの見通し】パウエル米FRB議長の発言に注目
きょうの東京市場の午前に円高方向の動きとなった。植田日銀総裁が金融政策の正常化を進める姿勢に変わりがないことを示したことが円買いを促し、ドル円は前日のニューヨーク終値から1円近いドル安・円高となる145.30付近まで一時下落、ユーロ円はニューヨーク終値から0.80円超のユーロ安・円高となる145.30付近まで一時下落した。しかし、その後、円買いは一服し、円高の動きは落ち着いてきている。
このあとの海外市場では、米カンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」におけるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が注目される。21日に米雇用統計の年次改定が発表されており、3月までの1年間の雇用者数の伸びが81万8000人下方修正された。今回の雇用者数の修正を均等に配分したと仮定すると、改定前は24万2000人だった1カ月当たりの雇用者数の伸びは約17万4000人になる。確かに米労働市場は一時より冷めてはきているが、17万4000人の雇用者数の伸びは決して悪い数字ではない。また、これから9月の米連邦公開市場員会(FOMC)までに8月の米雇用統計と8月の米消費者物価指数という雇用と物価の二大責務に関する2つの重要経済指標が発表されることになっている。こうしたことを踏まえると、パウエル議長はインフレ鈍化の進展を受けて9月の利下げを示唆するが、利下げ幅が通常の0.25%を上回る大幅なものになるかどうかについては、否定も肯定もしそうにない。一方、7月の米雇用統計の結果から市場で懸念されている米経済のハードランディングについては、パウエル議長は明確に否定する可能性がある。米労働市場は一時の過熱から落ち着いただけであり、パウエル議長が米経済は依然健全であり、米国のリセッション(景気後退)の可能性は低いことを強調すれば、米景気の先行きに対して安心感が広がり米株式市場が上昇し、株高からのリスク選好の動きで円が売られる可能性がある。
また、このあとの海外市場では、パウエル米FRB議長の他にも、英米の中銀関係者が発言することになっており、ベイリー英中銀(BOE)総裁の講演、ボスティック米アトランタ地区連銀総裁のテレビインタビュー、グールズビー米シカゴ地区連銀総裁のテレビインタビューが予定されている。経済指標としては、カナダ小売売上高(6月)や米新築住宅販売件数(7月)の発表がある。
minkabu PRESS編集部 加藤眞一
執筆者 : MINKABU PRESS
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