FX/為替「ドル/円、158円台前半 米国の金融政策と大統領選を巡る思惑で不安定な動き」 外為どっとコム トゥデイ 2024年7月16日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年7月16日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼15日(月)の為替相場
(1):中国GDPは予想以上の減速
(2):ユーロ圏鉱工業生産は予想ほど悪くない
(3):FRB議長発言で一時約1カ月ぶりの安値
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:不安定な値動きが続く公算/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
15日(月)の為替相場
期間:15日(月)午前7時00分~16日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国GDPは予想以上の減速
中国4-6月期国内総生産(GDP)は前年比+4.7%と市場予想(+5.1%)を下回った。不動産市場の低迷や内需の停滞が続く中、1-3月期の+5.3%から減速した。中国6月鉱工業生産は前年比+5.3%と市場予想(+5.0%)を上回った一方、同小売売上高は前年比+2.0%と予想(+3.4%)を下回った。
(2):ユーロ圏鉱工業生産は予想ほど悪くない
ユーロ圏5月鉱工業生産は前月比-0.6%と市場予想(-0.7%)ほどには落ち込まなかった。
(3):FRB議長発言で一時約1カ月ぶりの安値
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「第2四半期のインフレ動向を示す3指標は、インフレ鈍化への確信を強める内容だった」と発言。利下げが近いことを示唆した一方で、利下げの時期については「特定の会合についてシグナルを送るつもりはない」と強調した。ドル/円は前週末12日の安値(157.36円前後)を下抜けるとストップロスを巻き込みながら6月14日以来となる157.15円前後まで下落。ただ、米長期金利の低下が限定的だったことから、売りが一巡すると急速に値を戻した。クロス円もドル/円につれて乱高下した。
15日(月)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:不安定な値動きが続く公算
昨日のドル/円は終値ベースで約0.2%上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、最近のデータによってインフレ抑制に自信を深めたとの認識を示したことで157.15円前後まで急落する場面もあったが、その後は約1円切り返して158.13円前後で取引を終えた。パウエル議長の発言を受けてFRBの利下げが近いとの観測が高まったものの、トランプ氏が大統領に返り咲けば財政拡大は避けられないとの思惑から米長期金利は上昇。日本政府・日銀による円買い介入への警戒感も相まって、ドル/円の値動きは不安定だった。米利下げについては、金利先物市場において「年内2回」よりも「年内3回」の見方が優勢になりつつある。本日のNY市場で発表される米6月小売売上高の結果も、市場の利下げ観測を左右することになりそうだ。他方、銃撃事件を追い風に変えたトランプ氏が11月の大統領選で勝利するとの見方が強まっており、米株式市場ではエネルギー株などが上昇する「トランプ・トレード」と見られる動きが出ている。一方で為替市場の「トランプ・トレード」は、ドル買いとの見方がやや多い模様だが、まだ完全に定まり切れていないようだ。こうした中で、ドル/円は本日も不安定な値動きが続く公算が大きい。
注目の経済指標:米小売売上高
注目のイベント:FRB理事発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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