ドル円は上値追いが加速 一時161.75円付近まで上げ幅拡大=NY為替概況
ドル円は上値追いが加速 一時161.75円付近まで上げ幅拡大=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は上値追いが加速し、一時161.75円付近まで上げ幅を拡大した。介入警戒感はあるものの、市場はもう一段上値を試しに行っている。
オプション市場でもさらなる円安を見込む取引が活発化しており、160円を超す円安が進んだことからその動きは拍車がかかっているようだ。権利行使価格はさらにドル高・円安方向にスライドしている。「163円を超えた水準からオプションに絡む取引で円売りが加速しやすい」との声も出ている。
米連邦最高裁判所がトランプ氏の免責特権を一部支持したとのニュースが流れていたが、それもドル買いに繋がり、ドル円を押し上げたとの指摘も出ている。先週のTV討論会はトランプ氏の勝利となり、民主党の支持者からはこのままバイデン大統領が候補で良いのかという不満も噴出している。
トランプ氏再選となれば、ドル高のシナリオとの見方も少なくない。財政政策は緩和的になり、対中国の貿易・関税の政策がより積極的になることや、大型減税の延長も表明。不法移民の強制送還も提案している。景気を一段と刺激する可能性が高く、それはインフレを招くとの指摘も出ている。
FRBが本格的に利下げスタンスを強化し、ドル下落トレンドに向かうまでは、この流れはしばらく続く可能性が高いとの指摘も出ているようだ。
今週は木曜日が独立記念日で休場となるが、投資家は金曜日の米雇用統計を注目している。先週のPCEデフレータはインフレの鈍化傾向を示し、市場はFRBの年内2回の利下げを高確率で織り込んでいる。それを追認する内容になるか注目されるが、FOMC委員からは引き続き、利下げに消極的なタカ派姿勢が強調されている。
ユーロドルは伸び悩む展開。ロンドン時間の早朝に一時1.07ドル台後半まで上昇したものの、一時1.07ドル台前半に伸び悩んでいた。日曜日に行われたフランス下院の第1回目の選挙は予想取りにルペン氏率いる右派の国民連合(RN)が33.2%の得票率で第1党となった。左派連合の新人民戦線(NFP)が28.15%と続き、マクロン大統領の与党連合は21%で3位に留まった。
ユーロは落ち着いた反応を示している。世論調査から大きく外れておらず、一部にはRNがもっと獲得するのではとも見られていた。左派のNFPとマクロン大統領の与党連合が7月7日の第2回目の投票を前に、RNの政権奪取の阻止に向けて選挙協力を検討しているとの報道もあり、RNが過半数を獲得する可能性は低いのではとも見られているようだ。
ただ、米大手銀のアナリストは「フランスの政治的安定は、第1回目の選挙を見る限り、選挙後も政治的に不安定なままであることを示唆している」と指摘。「欧州大陸にとって重要な時期に、政策の可視性が非常に限られ、欧州の影響力は大きく失われるだろう」とも付け加えた。
ポンドドルは戻り売りが優勢となり、1.2635ドル付近まで下落する場面も見られた。100日線が1.2640ドル付近に来ているが、その水準での推移が続いている。
目先の注目は今週7月4日の英総選挙であろう。野党・労働党が過半数を確保する勢いで、その場合は政権交代となる。ただ、市場ではポンドへの影響はほとんどないとの見方が多い。労働党の地滑り的勝利の可能性について、ほとんど疑問の余地がないことから、選挙は市場にとって大きなイベントにはならないという。
選挙結果によって英中銀の政策方針が変更される可能性も低く、ポンドは引き続き外部要因に依存する状況が続きそうだという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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