【これからの見通し】円相場が神経質な動き、米欧株式市場をにらんで きょうは米小売売上高
【これからの見通し】円相場が神経質な動き、米欧株式市場をにらんで きょうは米小売売上高
このところ、円相場が神経質な値動きを示している。先週金曜日の日銀決定会合では次回7月の国債購入減額について示唆された。市場では今回6月会合での減額を見込んでいたことから、円売りで反応した経緯がある。その後の一連の植田日銀総裁の発言からは、状況次第では7月の利上げの可能性もありとしており、市場をかく乱している。ただ、減額見送りが事実であるのに対して、植田発言はあくまでも可能性、仮定の話である。市場の受けとめ方は冷ややかだ。
日銀決定会合の話題が一巡したあと、市場は米欧株式動向を注視している状況。先週から欧州株が売り圧力を受けている。フランスではEU議会でルペン氏率いる極右勢力が勢いづいており、マクロン大統領は国民議会選の実施を表明した。与党側に成算はあるのか、各報道からは大きな賭けだとの見方が示されている。仏国債が売られ、利回りは大幅上昇。独仏債利回り格差が一気に拡大する事態となった。ただ、ルペン氏が大きな制度変更を否定したことで、市場はひと安心している。
欧州株の混乱した状況とは対照的に米国ではナスダック指数が6営業日連続で最高値を更新している。火付け役だったエヌヴィディア株には調整の動きもみられるが、フィラデルフィア半導体指数は過去最高値を更新した。AIをテーマとしたIT関連株への人気は続いている状況。
為替市場は上記の日銀関連や米欧株動向に敏感に反応する地合いとなっているようだ。
ただ、忘れてはいけないのが米国を中心としたの経済ファンダメンタルズであろう。経済の強弱は株式市場や各通貨間の金利差に影響を与える。きょうは米小売売上高(5月)、米鉱工業生産指数(5月)、米企業在庫(4月)、対米証券投資(4月)などの発表が予定されている。最新の米雇用統計や米CPI発表を終えたことで、市場には一服感はあるが、特に米小売売上高と米鉱工業生産の結果内容は注目に値しそうだ。市場予想は小売売上高が前月比+0.3%(前回0.0%)、鉱工業生産が前月比+0.3%(前回0.0%)と強含むことが見込まれている。
それに先立つ欧州時間には、ドイツZEW景況感指数(6月)、ユーロ圏消費者物価指数・確報値(5月)などが発表される。ドイツ景況感指数の市場予想は+50.0と前回5月の+47.1からの改善が見込まれている。
発言イベント関連は、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、ポローネECB理事、デギンドスECB副総裁、クノット・オランダ中銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁などECB当局者の予定が多い。また、NY時間にはバーキン・リッチモンド連銀総裁、コリンズ・ボストン連銀総裁、ローガン・ダラス連銀総裁、クーグラーFRB理事、ムサレム・セントルイス連銀新総裁、グールズビー・シカゴ連銀総裁などの予定が詰まっており盛りだくさんだ。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。