FX/為替「ドル/円、及び腰の日銀QTに円高効果は期待薄」 外為どっとコム トゥデイ 2024年6月14日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年6月14日8時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼13日(木)の為替相場
(1):豪雇用統計は良好な結果
(2):ユーロ圏鉱工業生産は減少
(3):米国のインフレ鈍化と雇用悪化を示す経済指標
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:158円台へ上昇してもおかしくない/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
13日(木)の為替相場
期間:13日(木)午前6時10分~14日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪雇用統計は良好な結果
豪5月雇用統計で失業率は予想通りに4.0%へ低下(前回4.1%)、新規雇用者数は3.97万人増と市場予想(3.00万人増)を上回った。結果は良好だったものの、市場には利上げの可能性が高まるほど強くはなかったとの受け止め方が多かった模様で豪ドルの反応は鈍かった。
(2):ユーロ圏鉱工業生産は減少
ユーロ圏4月鉱工業生産は前月比-0.1%と市場予想(+0.2%)に反して減少した。
(3):米国のインフレ鈍化と雇用悪化を示す経済指標
米5月生産者物価指数(PPI)は前月比-0.2%、前年比+2.2%といずれも市場予想(+0.1%、+2.5%)を下回った。食品とエネルギーを除いたコアPPIも前年比+2.3%に伸びが鈍化した(予想+2.5%、前回+2.5%)。また、米新規失業保険申請件数は24.2万件と市場予想(22.5万件)を上回り、10カ月ぶりの水準に増加した。ただ、当該週にはメモリアルデー(5月29日)が含まれており、祝日の影響で統計に歪みが生じたとの見方もある。インフレ鈍化と雇用の悪化を示す指標にドルは一時急落したが、ほどなくして切り返した。
13日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:158円台へ上昇してもおかしくない
昨日のドル/円は終値ベースで約0.2%上昇。米5月生産者物価指数(PPI)が予想以上に鈍化し、米新規失業保険申請件数が予想以上に増加したことから156.58円前後まで下落する場面もあったが、売り一巡後には157円台を回復するなど、ドルの下値は堅かった。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、利下げを判断する上で単月の指標データを重視しない考えを示したことがあらためて意識されたと見られる。
本日は日銀が金融政策決定会合後に当面の金融政策について発表する。利上げの可能性は低いものの、事前報道で国債保有残高の圧縮(買い入れ減額)を検討すると伝わっている。ただし、市場の混乱を抑えるために保有残高の減額のペースは緩やかにするとのことだ。報道通りなら長期金利の上昇を嫌がりながらの量的引き締め(QT)、いわば「及び腰のQT」となる公算が大きく、そうしたQTに円高方向への効力があるかはきわめて疑わしい。なお、植田総裁の就任以降、日銀が金融政策を発表した当日のドル/円はこれまでの9回中すべてが陽線引けだ。10回目の今回もドル高・円安に振れる可能性があり、値位置的に約1カ月半ぶりの158円台へ上昇してもおかしくないだろう。
注目の経済指標:日銀金融政策決定会合
注目のイベント:植田日銀総裁記者会見
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
マネーを育てよう!をテーマに、外為どっとコム総合研究所に所属する研究員が執筆するオリジナルレポートのほか豪華講師陣の貴重なFXレポート、個人投資家や著名投資家のインタビュー記事など、バラエティ豊かな情報を配信しています。為替トレンドに合わせた特集記事やFX初心者でも安心の学習コンテンツを用意しており、個人投資家の取引技能の向上に寄与すべく活動しています。