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為替相場まとめ6月3日から6月7日の週

為替 

 3日からの週は、円相場主導で神経質な値動きだった。特に週前半にはドル円が157円台から154円台まで下落、クロス円も円高方向に振れた。週末にメキシコ、インド、南アフリカなどで大統領選などの政治イベントが実施された。いずれも現行勢力が維持されたものの、その勢力の弱体化や政策運営の困難さが懸念された。ペソ、ルピー、ランドなど主要国通貨が対ドルで乱高下する動きとなり、市場全般にリスク警戒感を広げる面があった。その他にも、週末の米雇用統計や次週の米FOMC、日銀決定会合などを控えてポジション調整の動きや日銀の国債買入れ減額などの思惑も影響を与えていた。ただ、週央以降は次第に値動きは落ち着きを取り戻した。ドル円は155-156円台で売買が交錯。木曜日のECB理事会では予想通り25bpの利下げが発表された。経済見通しではインフレ予測が引き上げられた。声明やラガルドECB総裁会見では、「特定の金利の道筋をあらかじめ約束しない」「データ依存と会合ごとのアプローチに従う方針」との従来からの方針が確認された。ユーロ相場は独自の方向性が示されず売買が交錯した。ユーロドルはおおむね1.08台前半から1.09付近での取引に終始。そして、週末に発表された米雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が27.2万人増と予想を大きく上回る増加を示した一方、失業率は4.0%に悪化し、強弱まちまちな内容ではあった。ただ、平均時給は前月比0.4%、前年比で4.1%上昇し、いずれも前回を上回っていた。インフレの粘り強さを示唆する内容ではあった。

(3日)
 東京市場では、ドル円が157円台で振幅。朝方は先週末の米PCEデフレータがインフレ鈍化を示したとして米10年債利回り低下を受けた流れで売られ、157.00付近まで下押し。しかし、その後は米FRB関係者の東面の高金利維持発言などで昼過ぎには157.47近辺まで上昇。午後は高止まりした。ユーロ円も170.43近辺まで下げたあと、170.89近辺まで買われた。ユーロドルは1.0850を挟んだ揉み合いに終始。週末のインド総選挙は出口調査でモディ首相率いる与党が大勝と報じられており、ルピー買いとインド株の大幅高につながった。メキシコ大統領選では現大統領路線の継承を公約としているシェインバウム前メキシコ市長が勝利。下馬評通りとあって、若干のペソ買いも限定的な反応にとどまった。

 ロンドン市場は、円買い・ドル買いが優勢。先週末のNY市場では米PCEデフレータがインフレ鈍化を示したとして米株が買われ、為替市場ではリスク選好の動きがみられた。週明けのロンドン市場でも欧州株が総じて堅調に推移しているが、為替市場ではドル円やクロス円が反落、ドルストレートでもドル買いの動きとなっている。ユーロ圏と英国の5月製造業PMI確報値はいずれも0.1ポイントの小幅な下方改定となったが、それに対する反応は限定的だった。ドル円は157円台半ばが重くなると156.60台へと軟化。ユーロ円は170.90付近を高値に169.80台へ、ポンド円は200.65付近を高値に199.20付近へと下押しされている。ユーロドルは1.0860付近から1.0830付近へ、ポンドドルは1.2750付近から1.27台割れまで軟化している。米10年債利回りは4.49%台から4.46%台へと低下。主要な金融当局者からの発言報道はみられず、調整主導の値動きとなっている。

 NY市場では、ドル売りが強まった。米ISM製造業景気指数が予想を下回ったことが背景。指数は48.7と2カ月連続で低下し、判断基準の50からさらに下振れた。米地区連銀指数やS&Pが発表する米製造業PMIからは、強めの内容も期待されていたが、想定外の結果に敏感に反応している模様。新規受注、生産が低下したほか、仕入価格が急低下しており、インフレ鈍化を示唆する内容となっている。なお、雇用は前回から上昇し50を回復していた。ドル円は一時155円台に下落する場面がみられた。ユーロドルは1.09ちょうど付近に上昇。ポンドドルは1.28ちょうど付近まで上昇。

(4日)
 東京市場は、リスク動向をにらんでドル円が上下動。朝方に155.99近辺まで下押ししたあとは、すぐに反発。午前中は株安などの動き反応薄で156.49近辺まで上昇。ただ、10年債入札が好調で、日本国債利回りは低下も円売りの反応は限定的。海外勢の参加を前にリスク警戒の動きに押され156.00付近に押し戻された。ユーロ円も170.10台から170.70台で上に往って来い。ユーロドルは前日のドル安を受けて1.09台前半を中心に推移した。

 ロンドン市場は、円買いが強まっている。ドル円は156円台から154円台へと下落。ユーロ円は170円台から168円台へ、ポンド円は200円付近から197円台へと大きく水準を下げている。リスク回避動向が広がっており、欧州株や米株先物が下落、米債利回りが低下。ドルストレートはドル高となりユーロドルは1.09台割れから1.08台後半へ、ポンドドルは1.28付近から1.27台半ばへと下押し。原油先物も下落。リスク回避の背景には昨日の米ISM製造業景気指数が予想外に低下するなど米景気への警戒感があるようだ。また、日銀関連の思惑が円買いにつながった面も。氷見野日銀副総裁は「金融政策決定に際して、為替変動のその経済・物価への影響に十分注意する必要」と述べており、円安動向を気がかりにしていると市場に解釈されたもよう。さらに、関係者発言として「日銀、早ければ今月会合で国債買い入れ減額を具体的に検討も」と報じられた。

 NY市場で、ドル円は154円台半ばまで一時下落。155円台に買い戻されたが、上値でも戻り売り圧力が強かった。21日線を下放れている。ロング勢の利益確定売りを誘ったようだ。ドル買いの動きがみられたが、それ以上に円買いが強まっている。東京時間に日銀が来週の決定会合で国債購入額の減額を検討するのではとの報道が流れていたが、海外勢の間では日銀の利上げ期待が根強い。年内にあと3回、計0.75%の利上げを見込む声もあるようだ。このところの日銀審議委委員の発言のトーンが変わっており、円安に一段と敏感になっていることを示唆していることが背景だという。ユーロドルは1.09台を維持できず、NY時間にかけて1.08台に伸び悩んだ。ロンドドルもNY前半のドル買い局面で一時1.27台半ばまで下落した。

(5日)
 東京市場では、円売りが優勢。昨日の海外市場での円買いから、一転して円売りが広がっている。昨日はロンドン市場で156円台から154円台後半へ急落。少し戻したものの、米雇用動態調査(JOLTS)が弱かったこともあって、154.50前後までの大きな下げとなった。しかし、東京市場では朝の154.80付近から155.71近辺へと大きく反発。日経平均が大幅安、米債利回りが前日からの低水準を踏襲と買い材料には欠けているが、ゴトウビ関連のフローが意識されたようだ。ユーロ円は168円台前半から169円台乗せ、ポンド円は197円台から199円手前まで上昇。豪ドル円は102円台から103円台に買い戻された。ユーロドルは1.0880前後、ポンドドルは1.2770前後で動意薄だった。

 ロンドン市場は、東京市場からの円売りが継続している。ドル円は東京朝方の154円台からロンドン時間に入ると156.30付近まで高値を伸ばした。その後も156円付近に高止まり。クロス円も同様に上昇。ユーロ円は168円台前半から170円ちょうど近辺まで上伸。ポンド円は197円台後半から199.60台まで買われている。前日は円高の動きが広がったが、きょうは全戻しの状況となっている。東京時間に本邦長期債利回りが1%割れへと低下したことが円売りにつながったほか、インド株などが急反発、欧州株や米株先物もプラス圏で推移するなどリスク警戒の動きが一服したことが背景。円相場主導のなかで、ドルストレートはややドル高の動き。ユーロドルは1.08台後半、ポンドドルは1.27台後半の狭いレンジで上値が重くなっている。

 NY市場は、ドルが底堅い値動き。米ISM非製造業景気指数が予想を上回る内容だったことから、ドルの買い戻しが優勢となり、155円台に値を落としていたドル円は156円台に戻した。一時156.50付近まで上昇した。ユーロドルは一時1.08台半ばに伸び悩んだ。あすのECB理事会での利下げは織り込み済みで、ラガルドECB総裁会見内容を見極めたいとのムード。今週は1.09台まで一時回復していたが、1.09台は維持できていない。ポンドドルは1.27台での小動き。本日は5月の英サービス業PMIの確報値が発表になり、速報値と変わらずとなっていた。カナダ中銀が0.25%の利下げを発表した。カナダドルは終盤に下げ渋ったものの、発表直後に売りが強まった。利下げ開始はコンセンサス予想通りではあったものの、一部には据え置くのではとの見方も相当程度あった。マクレム総裁は追加利下げの可能性に言及していたものの、あくまでタイミングはデータ次第という点を強調していた。

(6日)
 東京市場で、ドル円は下に往って来い。午前は156円台割れから一時155.37近辺まで下落。しかし、その後、中村日銀審議委員が当面は現状の政策維持が妥当との考えを示すと下げが一服。午後は、植田日銀総裁が現実のインフレ予想はまだ2%に達するには少し距離があると発言すると、日銀による利上げ観測が後退して円売りが入り、156円ちょうど付近まで戻した。日本10年債利回りが午後に0.95%台まで一段と低下したことも円売りにつながった。ユーロ円も169円台で下に往って来い。ユーロドルは1.08台後半での推移。ECB理事会待ちのムードに。

 ロンドン市場は、ECB理事会を控えて値動きが一服。ユーロドルは1.08台後半での値動き。東京昼にかけては1.09台に迫る上昇となったが、大台には届かず反落。東京市場からの円安の動きも一服。ドル円は156円台を回復し高値を156.40付近に伸ばしたあとは、156円挟みの水準で推移。ユーロ円も一時170円台乗せまで買われたが、その後は169円台後半に押し戻されている。ポンドはやや上値重く推移。ポンドドルは1.28台を割り込むと1.2770台へと安値を広げ、ポンド円は200円手前まで買われるも、その後は199円台前半へと反落。対ユーロでもややポンド安となっている。独製造業受注は予想外の低下、独英の建設業PMIはいずれも改善したが独PMIの水準は38.5と引き続き低迷。ユーロ相場の支援材料には乏しいが、ECB理事会前の調整の面もありユーロ相場の下げは限定的。

 NY市場では、ドル円が再び155円台半ばに下落。明日の米雇用統計に関心が集まる中、方向感に欠ける取引が続いている。ユーロドルは1.08台後半での推移。ECB理事会を受けて、一時1.09台に上昇する場面が見られた。ECBはこの日の理事会で利下げを開始。中銀預金金利を従来の4.00%から3.75%に引き下げた。2022年7月のマイナス金利解除以降、約1年11カ月続いた利上げサイクルに一旦終止符を打った。ただ、声明では「特定の金利の道筋をあらかじめ約束はしない」と述べたうえで、今年と来年のインフレ見通しを引き上げていた。ラガルド総裁も会見で、スピードとタイミングはデータ次第であることを強調。市場ではタカ派な利下げとの印象に結びついたようた。ポンドドルは一時1.27台半ばへ軟化したあと、1.28手前へと下げ渋った。市場は明日の米雇用統計を待つ中で、ポンドについてはポジション調整中心の値動きに終始していたようだ。英国では7月4日に総選挙が実施される。世論調査では野党・労働党がリードしているが、世論調査通りに労働党が勝利しても、目先の経済の見通しに大きな変化はないと考えられている。

(7日)
 東京市場では、ドル円が上下動。午前の国債買い入れ通告では、一部で期待された買い入れ減額が行われず、前回額を踏襲した。円売りの反応が広がり、ドル円は155.50付近から155.94近辺まで買われた。その後は、円買いに押し戻されて155円台半ばに戻した。米雇用統計がやや弱めの内容になるとの思惑がドル安やリスク警戒の円高につながったもよう。ユーロ円も169.83近辺まで買われたあと、169.29近辺まで下落。ユーロドルは1.0890前後での狭いレンジ取引。

 ロンドン市場は、小動き。米雇用統計発表を日本時間午後9時30分に控えて、様子見姿勢が広がっている。ドル円は155円台半ばから前半での揉み合い。円買いの動きが先行も、すぐに下げ渋り。クロス円も同様の値動きで、ユーロ円は169円台半ばから169円台割れ、ポンド円は199円付近から198.40付近で下に往って来い。米10年債利回りは4.29%台から4.30%台での揉み合い。欧州株はマイナス圏での推移。前日のECB理事会での利下げも、その後については不透明であることが重石。この日は一連のECB高官発言が報じられているが、シュナーベル理事が「特定の金利の道筋をあらかじめ約束することはできない」と発言しているように、今後の金利動向へのヒントは得られず。この日発表された1-3月のECB主要賃金指標(前年同期比)は前回の4.9%から5.1%へ加速しており、追加利下げにとっては不透明な材料となっていた。ホルツマン・オーストリア中銀総裁は、昨日の理事会で唯一の利下げ反対だったことを明言していた。

 NY市場は、この日の米雇用統計を受けてドル買いが強まり、ドル円は一時157円台に上昇する場面が見られた。ただ、以前のような力強さはなく、上値に慎重になっているのか、買いが一巡すると伸び悩む展開も見られていた。ただ、本日の上昇で21日線の上を回復している。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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