ドル円は下に往って来いの展開 PCEデフレータはインフレ鈍化への期待示す=NY為替概況
ドル円は下に往って来いの展開 PCEデフレータはインフレ鈍化への期待示す=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は下に往って来いの展開が見られた。序盤はこの日発表の4月のPCEデフレータを受けてドルが売られ、ドル円は156円台半ばまで一時下落した。
総合指数は前年比2.7%、コア指数は前年比2.8%と前回から変わらず、予想通りの内容ではあった。ただ、先日の米消費者物価指数(CPI)同様にインフレの再上昇は確認されず、今後の鈍化を期待させる内容ではあった。短期金融市場は前日とほぼ変わらず、FRBの年内1回か2回の利下げの可能性を見ている。
米国債利回りも低下し、ドル円も売りに押されたものの、動きが一巡すると157円台に戻している。特段の材料は見当たらなかったが、月末ということもあり、ロンドンフィキシングかけて実需の動きが出ていた可能性もありそうだ。
財務省が本日、外国為替平衡操作を発表し、4、5月に実施した為替介入が総額9兆7885億円と過去最高となった。ほぼ予想範囲内で10兆円を超えていなかったこともあり、ドル円の反応は限定的だった。この発表を受けてストラテジストからは、財務省は最近実施したような大規模な為替介入は繰り返さないだろうとの見方が出ていた。為替介入が外貨準備の5%近くに迫っており、この規模の介入を毎月繰り返すのは難しいという。
ユーロドルは買い戻しが優勢となり、一時1.08ドル台後半まで買い戻されていた。本日は5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表になっていたが、総合指数は前年比2.6%と2月以来の伸びとなったほか、コア指数も予想を上回る伸びとなった。ドイツを始め、ユーロ圏の景況感に改善も見られ、雇用の数字も強い内容が続いている。来週はECB理事会が開催され、0.25%ポイントの利下げが確実視されているが、その後の利下げの道筋については、やや不透明な部分も台頭している。
短期金融市場では来週を含めて、年内2回ないしは3回の利下げを見込んでいるが、ECB理事会を経て、変化が出る可能性も留意される。ラガルド総裁は来週の理事会で先行きのヒントは出さないと見られているようだ。
きょうのポンドドルは一旦1.2765ドル付近まで上昇した後、終盤になって1.27ドル台前半に伸び悩んた。ストラテジストやファンド・マネージャーは7月4日の英選挙を前に新政権が安定をもたらし、長年に渡って市場の重荷となってきた政治的障害が取り除かれることを期待している。世論調査では野党・労働党が大きくリードしているが、労働党が勝利した場合、EUとの関係が再構築され、それはポンド高に繋がるのではとの見方もあるようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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