FX/為替「151円台前半へ反落 中東懸念で米雇用統計への感応度鈍る公算」 外為どっとコム トゥデイ 2024年4月5日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年4月5日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼4日(木)の為替相場
(1):ECB議事録公表
(2):米新規失業保険申請件数 1月以来の水準へ増加
(3):中東情勢の緊迫感高まる
(4):植田日銀総裁「目標達成の可能性がどんどん高まっていく」
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:152円台は来週以降に持ち越しの公算/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
4日(木)の為替相場
期間:4日(木)午前6時10分~5日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):ECB議事録公表
欧州中銀(ECB)は3月理事会の議事録を公表。「メンバーは、インフレ率が適時に目標とする2%向けて持続的に低下する軌道に乗っているとの確信を強めた」「今後の経済指標や証拠を待つのが賢明だが、利下げを検討する論拠は強まっている」とした。
(2):米新規失業保険申請件数 1月以来の水準へ増加
米新規失業保険申請件数は22.1万件と市場予想(21.4万件)を上回り、1月最終週以来の水準に増加。これより前に発表された米3月チャレンジャー人員削減数が9.03万人に増加しており、一時解雇の増加が失業保険申請件数を押し上げた可能性がある。
(3):中東情勢の緊迫感高まる
イスラエルのネタニヤフ首相は「イスラエルに危害を加えようとする勢力を痛めつける」と発言。これより前にはイランがシリアの同国大使館を1日に攻撃したのはイスラエルだと主張し報復を宣言していた。中東情勢の緊迫化を巡る懸念から米国債買い(金利低下)が強まると日米金利差縮小を意識したドル売り・円買いが優勢となった。中東リスクの高まりを受けて米国株が下げ幅を拡大する中、クロス円でも円買いが強まった。
(4):植田日銀総裁「目標達成の可能性がどんどん高まっていく」
日銀の植田総裁は朝日新聞とのインタビューで「2%の物価目標達成に向けた確度がさらに高まれば、追加利上げを検討する」とし「夏から秋にかけて春闘の結果が物価にも反映されていく中で、目標達成の可能性がどんどん高まっていく」と述べたことが伝わった。
4日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:152円台は来週以降に持ち越しの公算
昨日のドル/円は中東情勢を巡る懸念からNY市場で151円台前半へと反落した。イランはシリアの同国大使館を攻撃したのはイスラエルだと主張し報復を宣言。一方、イスラエルのネタニヤフ首相はイスラエルに危害を加えようとする勢力を痛めつけると発言した。これを受けて米国株が下げ幅を拡大し米国債利回りが低下する中、円を買い戻す動きが強まると一時151.12円前後まで下落した。
本日も中東を巡る地政学リスクの高まりに警戒が必要となりそうだ。ただ、中東情勢の緊張による原油価格の上昇は日本の貿易赤字を拡大させるため潜在的な円売り要因だろう。加えて、地政学リスクの高まりは基軸通貨であるドルの需要を高めるはずだ。中東問題によるドル売り・円買いはキャリー取引の解消に向けた一時的な動きと見ている。
他方、市場の関心が一時的にせよ中東問題に向かったことで、ドル/円は本日の米3月雇用統計に対する感応度が鈍りそうだ。週末を前に積極的な売買は手控えられる可能性があることから、34年ぶりの152円台への上伸も来週以降に持ち越しになる公算が大きくなったと言えるだろう。
注目の経済指標:米雇用統計
注目のイベント:FRB高官発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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