ドル円、200日線を上抜く展開 議事録への反応は小幅で米雇用指標待ち=NY為替概況
ドル円、200日線を上抜く展開 議事録への反応は小幅で米雇用指標待ち=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いの動きが強まり、ドル円は143円台に急上昇。本日の200日線が143円台前半に来ているが、その水準を一気に上抜く展開を見せ、一時143.75円付近まで上昇した。
今年に入って米株式市場が軟調なスタートを切るなど、昨年末までと逆の動きが出ている。その流れに伴って為替市場も、米国債利回り上昇と伴にドルの買い戻しが強まっており、ドル円も反転の動きを見せているようだ。
午後になって本日の最注目イベントだったFOMC議事録が公表された。議事録では「金利は予想よりも長くピークに留まる可能性。政策金利は当面の間、制限的な水準に留まる」と指摘しており、「より高く、より長く」の金利環境の可能性を強調した内容となった。ただ、3月までの利下げ開始への期待はさほど変化はなく、80%程度の確率で推移している。
議事録への反応は小幅に留まったものの、ドル高・株安の流れは継続。市場は新年に入って方向感を模索しているが、明日以降の米雇用指標の反応が注目される。
ユーロドルは売りが加速し、一時1.08ドル台まで下落。その後、下げ渋ったものの戻りを試す動きまでは見られていない。ユーロに関しては特に材料はなく、金曜日のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値の発表待ちの状態ではある。本日の下げで21日線を下抜けており、さらなる下げも警戒される。
テクニカル的にもMACDが下落トレンドのサインを示現しており、短期的には下値を模索する可能性が高まっているとの指摘が出ている。目先は1.08ドル台半ばに来ている200日線が下値メドとして意識されそうだ。
一方、ポンドドルは下げ渋る動きが出ていた。本日の21日線が1.2665ドル付近に来ているが、その水準での推移となっている。英中銀はタカ派姿勢を堅持しているが、短期金融市場では5月の利下げ開始を完全に織り込んでいる。12月に発表されたインフレと賃金に関するデータが予想を下回り、長引く国内供給の抑制が以前よりも急速に緩和されたことが示唆されたことで市場は利下げ開始期待を高めている格好。
ただ、FRBやECBよりは利下げ開始は遅いとみられている。英インフレは米国やユーロ圏と同じ傾向にはあるものの、それらよりも半年ほど動きが遅れているという。ただ。これまでのインフレと賃金の大幅な上昇は、エネルギー効果などの一時的な要因によるもので、現在は逆転しているようだとの指摘も出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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