ドル円は買い戻しも上値は重い 米利下げ期待が上値を拒む=NY為替概況
きょうのNY為替市場、前半はドル売りが一服していたことからドル円も147円台後半まで買い戻されていたが、後半には147円台前半に下落しており上値は重い。本日は東京時間に146円台まで一時下落していた。本日の100日線が147円ちょうど付近に来ているが、その水準を下回っていた。現状はサポートされているが、再び試しそうな気配も出ている。
ドル円は今週に入ってからの下落で、再び下値に意識が向かっており、オプション市場ではファンド勢がプット(売る権利)の買いを積極的に購入しているとの観測も流れている。それは下落期待を意味する。市場は、前日のFRB理事の発言で来年の利下げ期待を一層強めており、短期金融市場では5月の利下げ開始を有力視し始めている。場合によっては3月との見方も高めている状況。
ウォラーFRB理事は前日の講演で「現在の政策が景気を減速させ、インフレを2%に戻すのに十分な位置にあるとますます確信している」と述べていた。市場が期待している利下げには言及していないが、市場からは「市場は来年の利下げに前向きと解釈している」と指摘も出ていた。やや拡大解釈とも思われるが、ドルの下値警戒感を高めている市場を刺激したようだ。
ユーロドルは緩やかな戻り売りに押されたものの、下押す動きまではない。1.09ドル台での押し目買いも活発に出るようで、リバウンド相場は健在といったところのようだ。ただ、前日に1.10ドル台を回復しているが、その水準は維持できていない。
本日は11月のドイツ消費者物価指数(HICP)速報値が発表されていた。前月比マイナス0.7%、前年比2.3%と予想以上にインフレが低下した。しかし、市場では、インフレは冷え込んだものの粘着性は残り、ECBはスタンスを変えないと見ているようだ。
今回の低下はエネルギーと旅行関連の低下が主因だが、食品は上昇していた。これらは明日発表のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は全体的には予想を下回る可能性を示唆しているものの、食品、アルコール、タバコのインフレは上方サプライズとなる可能性を示唆しており、それらはインフレ基調の底堅さを示しているとしている。
*ドイツ消費者物価指数(速報)(11月)22:00
結果 -0.4%
予想 -0.2% 前回 0.0%(前月比)
結果 3.2%
予想 3.5% 前回 3.8%(前年比)
*調和消費者物価指数(HICP)
結果 -0.7%
予想 -0.4% 前回 -0.2%(前月比)
結果 2.3%
予想 2.7% 前回 3.0%(前年比)
ポンドドルは伸び悩む動きも見せていたものの、NY時間に入って買戻しも見られていた。リバウンド相場はしっかりと維持されているが、RSIは買われ過ぎの水準である70を超えており、過熱感は否めない状況ではある。
きょうは英マネーサプライが発表になっていたが、住宅市場の低迷が続いていることから10月も4カ月連続で前年比マイナスとなっていた。10月に家計が返済した住宅ローン残高は約1億ポンドと2010年代後半の月平均36億ポンドには程遠い。
一方、住宅ローン貸付は低調だったにもかかわらず、10月の家計の流動資産保有額は通常よりも増加していた。このことは、家計がまだ貯蓄を選択していることを示唆している。家計の貯蓄率が来年も例年より高水準で推移する可能性も示されているが、これ以上上昇することはないとも見られているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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