ドル円は144円台での上下動が続く 議事録への反応は限定的=NY為替概況
ドル円は144円台での上下動が続く 議事録への反応は限定的=NY為替概況
きょうもドル円は144円台での上下動が続いている。次第に144円台での膠着感が強まってきているが、週末の米雇用統計を始めとした米経済指標を確認したい意向が強いものと見られる。一部からは、テクニカル的に145.50円と143.90円を上下それぞれのメドとの指摘が出ている。可能性としては上振れのほうが高く、145.50円を突破できるようであれば、150円に向かって上へのレベルシフトが見られる可能性もあるという。
なお、午後にFOMC議事録が公表され、FOMC委員のほぼ全員が一時停止を適切または容認できると判断した一方、大半の委員が年内の追加利上げを予想していたことが明らかになった。タカ派な利上げ一時停止だったことを確認する内容ではあるが、目新しい内容もない。
一部の委員は利上げを支持していたようだが、タイトな労働市場のほか、インフレが2%目標に向かって減速している兆しが比較的乏しいことを理由に挙げていた。為替市場は発表直後はややドル売りの反応を見せたものの、次第にドル買いに転じている。ただ、大きな反応には至っていない。
ユーロドルは1.08ドル台に再び値を落とした。本日の21日線は1.0875ドル付近に来ているが、その付近での推移。1.10ドル台が強い上値抵抗となっている一方、1.08ドルも強い下値抵抗となっており、ユーロドルはその間での狭い範囲での値動きに終始している。
ユーロドルは次第にボラティリティが低下が顕著になってきているが、一部からは、ユーロ圏のファンダメンタルズが不安定であることを考慮すると、自己満足的に見えるとの指摘も出ている。ユーロドルのインプライド・ボラティリティは過去の為替変動を測定する実現ボラティリティの水準に向かって低下している半面、ユーロ圏は最近、一連のネガティブな経済サプライズに直面しており、市場の自己満足を反映しているように見えるという。今後、インプライド・ボラティリティはECBによる利上げの影響を受けて上昇する可能性がある(ユーロは下落)としている。
ユーロドルの3カ月物のインプライド・ボラティリティは約6.425%で取引されており、年初の8.6%超の水準から低下している。
ポンドドルは1.27ドル近辺で一進一退。今週のポンドは主要なイベントもなく、米経済指標を受けたドルの反応に左右される展開も予想されている。
市場での英中銀の追加利上げ期待が高まっており、短期金融市場では、あと計1.25%もしくは1.50%ポイントの利上げを実施する可能性まで織り込んでいる。前月の英中銀は前月の金融政策委員会(MPC)で予想外の0.50%ポイントの大幅利上げを実施したが、もう1回あるのではとの観測も出ている。
英利上げ期待がポンドを下支えしているが、一方で過度な引き締めによるハードランディングのシナリオも警戒されている状況。直近のポンドの値動きを見ると、徐々に利上げ期待よりも、そのリスクの方が意識され始めているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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