弱いISMでドル円は一時下落も下押す気配はなし=NY為替概況
きょうのNY為替市場、序盤のドル円はNY時間に入って再び戻り売りに押された。この日発表のISM製造業景気指数が予想を下回る弱い内容となったことで、一時144円ちょうど付近まで下落する場面が見られた。しかし、売りが一巡すると直ぐに買い戻しが入り、144円台後半に戻す展開。下押す気配は全くないようだ。
先週は一時145円台に上昇したものの、日本の財務省による介入も意識され、144円台に値を落としている。しかし、145円台を再度試す動きに変化はない。財務省の口先介入は続いているものの、145円での介入との見方は少ないようだ。いまのところロング勢も慎重にはなっているものの、上値攻めのタイミングを見計らっている状況に変化はなさそうだ。
先週末に発表になった米商品先物協会(CFTC)の建玉報告によると、FRBの想定以上のタカ派姿勢にもかかわらず、投機筋のドルロング解消が続いていることが明らかとなった。FRBがもう少し利上げを追加するかもしれないということを受け入れているが、ドルがピークに達したという見方は依然根強く、ファンド勢もドル一段安に向けたポジションを組んでいるとの指摘も聞かれる。しかし、その一方で円ショートはそれ以上に拡大しており、投機筋の円の売り越しは2018年以来の水準に拡大している。
ユーロドルは1.09ドル付近での一進一退の展開。6月のECB理事会や消費者物価指数(HICP)の発表を受けて概ね材料が出揃い、市場は次の材料を待っている状況のようだ。
一部からは、今週のユーロドルは幅広いドル高により小幅に下落する可能性があるとの指摘が出ている。ユーロドルの動きの大半は、特に米経済指標が出始めると、ドルの動きに左右されることになりそうだという。ただ、ECBもさらに追加利上げの可能性が高いことから、ユーロドルが1.08ドルを大きく割り込むとの想定は時期尚早かもしれないとも指摘している。
きょうのポンドドルは方向感のない展開が続き、1.26ドル台後半での振幅に終始。1.26ドル台半ばに来ている21日線は堅持しているものの、買戻しを強める動きまでは出てない。足元の英雇用統計や消費者物価指数(CPI)の予想外の強さから、英中銀はFRBやECBよりも長期に渡って利上げを続けると見込まれている。しかし、ポンドは以前ほどのポジティブな反応は見せていない。
為替市場が金融政策の動向に左右されるのではなく、いずれファンダメンタルズ主導に切り替われば、ポンドは苦戦する可能性があるとの指摘が出ている。今後インフレがピークに達し、徐々に鈍化するにつれて、経済見通しがより重要なポイントになって来る。その場合、金利主導の市場で好パフォーマンスを演じてきたポンドは成長主導の市場では苦戦を強いられる可能性が高いとという。
ここ数年の混乱の中、為替市場は短期的な金融政策の変更に過敏に反応してきたが、それも今後数カ月で変わることが予想されるとも述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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