ドル買い一服でドル円は139円台に伸び悩む 追加利上げに関心集中=NY為替概況
ドル買い一服でドル円は139円台に伸び悩む 追加利上げに関心集中=NY為替概況
きょうの為替市場はドル買いが一服し、ドル円は139円台に伸び悩んだ。前日に引き続き140円台後半まで上昇していたものの、海外市場に入って戻り売りに押されている。先週末に米債務上限問題がバイデン大統領とマッカーシー下院議長の間で合意した。本日から議会審議に移り、明日にも採決したい意向。一部には反対の議員もおり、可決できるかどうかはなお未知数ではあるが、債務不履行(デフォルト)は回避できると見られているようだ。
市場はもともと楽観視していた面もあったが、実際に合意に達したことにより、若干リスクムードが高まっている。その一方で今回の合意により、市場は本格的にFRBの追加利上げ動向に関心を集中させている。
市場は6月13、14日のFOMCでの利上げ確率を60%程度で見ている。追加利上げを見込んではいるものの、確信までには至らない状況。7月FOMCまでであれば、1回ないしは2回の利上げの可能性を75%程度で見ている状況。なお、6月、7月の連続利上げの可能性は20%程度。
いつもの通りに経済指標次第といった雰囲気で、その意味では金曜日の米雇用統計、そして、FOMC結果発表前日13日の米消費者物価指数(CPI)を確認したい意向も強い。現時点ではどちらの指標の予想も前回から若干の低下が見込まれているものの、利上げできないほどではない。FOMC委員の中でも追加利上げと据え置きで意見が分かれる中、指標の強弱が明確になれば、方向感ははっきりとする。しかし、そうでない場合は複雑になりそうな局面ではある。
きょうのユーロドルは下げ一服となっており、1.07ドル台を回復している。ロンドン時間に発表になった景況感指標が弱い内容だったこともあり、一時1.06ドル台まで下落していた。市場は6月、7月のECBの追加利上げを見込んでおり、ECB理事からもその観測を後押しする発言が出ている。
その意味でも今週の5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値の発表は重要な判断材料になりそうだ。現在の予想では前回から低下が見込まれているものの、ECBは注視しているコア指数は依然として高水準が見込まれており、予想範囲内であれば、利上げは正当化されそうだ。
*ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(概算値速報)(5月)1日18:00
予想 0.3% 前回 0.6%(前月比)
予想 6.4% 前回 7.0%(前年比)
予想 5.5% 前回 5.6%(コア・前年比)
きょうもポンドドルは買い戻しが続いており、1.24ドル台を回復している。依然として21日線を下回る水準での推移となっているものの、100日線の上は維持されている状況。
一部からは、英中銀が追加利上げに踏み切るようであれば、ポンドは恩恵を受けるとの指摘が出ている。先日発表の英消費者物価指数(CPI)を受け、あと4回以上の追加利上げを見込んでおり、ターミナルレート(最終到達点)は現在の4.50%から、場合によっては6.00%までの上昇の可能性も否定できないという。ポンドに対する強気な見方は、これらの見通しと英内需の回復力によるとも述べた。
大半の兆候は今年の英成長が比較的緩やかであることを示唆しているが、これは以前の想定よりも遥かに良好で、成長予測は引き続き高く修正されているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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