ドル円は一時133円台に再び下落 米地銀への不信感再燃でリスク回避の円高も=NY為替概況
ドル円は一時133円台に再び下落 米地銀への不信感再燃でリスク回避の円高も=NY為替概況
きょうの為替市場でドル円は売りが強まり、一時133円台に再び下落する場面が見られた。この日発表の4月の米生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったことから、前日の米消費者物価指数(CPI)と同様に、利上げ停止と年内の利下げ期待を正当化する内容となった。一方、米地銀への不信感が再び強まっており、リスク回避の円高も出ていた。
米地銀のパックウェスト<PACW>が5月5日に終了した週に預金が約9.5%減少したことを明らかにした。大部分は5月3日に伝わった身売りを含め戦略的選択肢を検討との報道後の5月4日と5日に発生したという。米株式市場もネガティブな反応を見せ、ドル円の上値を圧迫した模様。
しかし、後半には米株式市場の下げも一服する中でドル円も買い戻しが見られ、134円台半ばに戻している。本日の21日線は134.60円付近に来ているが、その水準を維持できるか、明日以降の動きが注目される。市場では、来年の1月までに計4回の利下げを織り込む動きも出ている。しかし、エコノミストからは、6月FOMCで期待通りに利上げを停止しても、FRBはタカ派な雰囲気を残し、市場にサプライズを与える可能性が指摘されている。
ユーロドルはNY時間に入って戻り売りが強まり、一時1.09ドルちょうど付近まで下落する場面も見られた。リスク回避の雰囲気が広がり、ユーロは対ドルで売りが強まった。きょうの下げで21日線をさらに下放れる動きが見られており、下値警戒感が強まっている。
ただ、市場ではECBの利上げ期待は高い。G7財務相・中央銀行総裁会議で日本を訪問しているラガルドECB総裁は「高水準のインフレを抑え込む取り組みは終わっていない」と追加利上げの可能性を改めて強調した。
きょうはECBが月次調査を公表し、ユーロ圏消費者のインフレ期待が3月に大きく上昇したことが明らかになった。夏以降もECBは利上げを続ける必要があるかもしれないとの一部の見方を裏付ける。向こう1年のインフレ見通しは5%と、2月の4.6%から上昇。3年先は2.9%と前回の2.4%から上昇した。
ポンドドルも戻り売りが強まり、一時1.24ドル台に下落する場面も見られた。ただ、英中銀は本日、市場の予想通りに0.25%ポイントの利上げを実施し、追加利上げに含みを残した。英経済の見通しにやや明るさが見えると言及し、リセッション(景気後退)は回避できるとの見通しを示した。委員の投票行動は7対2で、テンレイロ、ディングラ委員の2名が据え置きを主張。
結果発表後にポンドは買いの反応を強めた。大方の予想通りではあったものの、GDP見通しを想定以上に上方修正したことは驚きとなった模様。短期金融市場では9月までにあと2回0.25%ポイントの利上げを行う可能性を織り込む動きが出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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