米雇用統計受けドル売り ドル円は一時134円台前半 SVB破綻の影響も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表になった米雇用統計を受けてドル売りが強まった。ドル円は一時134円台前半まで見切り売りが強まり、21日線をブレイクしている。
非農業部門雇用者数(NFP)は前回から大きく伸びが鈍化したものの、31.1万人増と予想(22.5万人増)を上回り、力強い米雇用情勢を示した。タカ派なFRBを正当化する内容ではあるが、失業率が3.6%に悪化し、平均時給も前月比0.2%上昇に伸びが鈍化し、予想も下回った。
FRBのタカ派姿勢を裏付ける内容ではあるものの、短期金融市場では今月のFOMCでの0.50%ポイント利上げの確率が50%未満に低下するなど、今週のパウエルFRB議長の議会証言を受けた利上げ期待の高まりを後退させる反応が見られている。また、年内の利下げ期待も復活しており、12月のFOMCで0.25%の利下げを織り込む動きが出ている。
また、資本毀損に伴う経営危機が浮上していたSVBファイナンシャル<SIVB>が破綻し、他の地銀にも動揺が走っている。金融システムへのリスクが意識されていることも、市場の金利見通しに影響していた可能性もありそうだ。
実際に22日のFOMCがどうなるのか市場では見方が分かれている。ただ、明日からFOMC委員は金融政策に関する発言を控えるブラックアウト期間に入り、手掛かりは少なくなる。最終的に決めてくれるのは来週14日の米消費者物価指数(CPI)なのかもしれない。
ユーロドルは一時1.07ドルちょうど付近まで買い戻される場面も見られた。きょうの上げで21日線付近まで回復しており、来週以降の動きが注目される。
来週16日にECB理事会が開催されるが、市場ではECBが政策決定自体に関して市場にサプライズを与えることはないと見られている。市場では0.50%ポイントの大幅利上げを実施し、中銀預金金利を3.00%まで引き上げることが確実視されている。
そのため、市場の反応はラガルド総裁の会見がどの程度タカ派的と認識されるかに左右される。足元のユーロ圏消費者物価指数(HICP)などのデータや、ECB理事の発言などからすれば、総裁の会見はタカ派な内容になる可能性が高く、早期の利上げ打ち止めを示唆するようなハト派な内容にはならないと見られている。
5月のECB理事会について市場では、利上げが見込まれてはいるものの、0.50%か0.25%ポイントかで意見が分かれている。ラガルド総裁の発言で市場の意識がどちらに傾くかでユーロの反応も違って来るものと思われる。
ポンドドルは一時1.21ドル台まで上昇する場面が見られた。きょうの上げで200日線がサポートされ、且つ21日線付近まで回復している。今週は2月以降の調整トレンドに一服感が出ているが、来週以降どうなるか注目の展開となっている。
エネルギー価格下落に伴い、英サービスインフレは急速な緩和が予想されるとの見方が出ている。ガス価格が高かった頃に企業は、ガスがサービス部門の価格上昇の最大要因であると述べていた。しかし、ガス価格が下がったいま、サービス部門が値上げを続ける圧力がいくらか取り除かれている。
それでも、英コアインフレは引き続き高水準での推移が予想され、その結果、英中銀の利下げが今後1年以内に行われる可能性は低いと考えられるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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