ドル円は下に往って来い FRBに対するタカ派な雰囲気は払拭されず=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は下に往って来いの展開が見られた。前半は戻り売りが優勢となり、一時136円台半ばまで下落する場面が見られた。きょうもパウエルFRB議長の下院での議会証言が行われたが、議長は「利上げペースについて何も決定していない」と強調していた。それもあってドルは戻り売りが優勢となったものの、前日に広がったタカ派な雰囲気は払拭されてはいない。ドル円も下値での押し目買いも出て、137円台に買い戻される展開となった。
今週のパウエル議長の証言で市場の雰囲気がよりタカ派に傾いており、前日の為替市場はドルの買い戻しが活発化した。市場からは、「この動きはドル高がピークに達したと考えるのは危険であることを示唆している」との指摘も出ている。「これは投資家にドル高のピークを考えることは依然としてリスクが高過ぎることを思い起こさせるもので、金曜日の米雇用統計を前にドルは更に上昇する可能性がある」とも付け加えた。
市場では今月のFOMCでの0.50%ポイント利上げの可能性を一気に高め、確率を78%程度まで上昇させている。
ユーロドルは下げ一服の展開。アジア時間に一時1.05ドル台前半まで下落する場面が見られたが、1.05ドル台半ばまで下げ渋る展開。前日からの下げで21日線は下放れしている格好だが、1.05ドル台前半に来ている100日線は維持されている。ただ、上値は依然として重い印象。
FRBのタカ派姿勢が再びクローズアップしているが、ECBにも同様の雰囲気が広がっている。ユーロ圏のコアインフレが加速していることから、エコノミストからは利上げ予測を上方修正する動きも数多く出ている。一部の見方では、3月と5月の両方で0.50%ポイントの利上げが実施され、6月のECB理事会では経済見通しを発表するが、それが政策スタンスの見直しの素地となり、7月に0.25%ポイントの利上げを行い、中銀預金金利を4.00%まで引き上げて最後になると予想しているという。
ポンドドルは下げ渋る動き。ただ、積極的に買い戻そうという動きまでは見られず、1.18ドル台での上下動が続いている。FRBもECBもタカ派姿勢を強めているが、英中銀に関しては逆に利上げ停止を視野に入れた見方が優勢となっている。その背景には英経済の動向があるが、一部のエコノミストからは、インフレと失業率上昇で英経済はより深刻な不況に陥る可能性があるとの指摘が出ている。
現在の高インフレ、金利上昇、前月よりも高い失業率により、英経済は想定以上に深刻な景気後退に陥る可能性があると指摘。今年のGDPはコンセンサス予想のマイナス0.8%ではなく、マイナス1.3%になると考えているという。この落ち込みの一部は、家計がクッションとして使ってきた貯蓄のストックを使い果すこともあるが、大部分は金利上昇による遅延的な足かせによるものだろうと述べている。
なお、きょうはカナダ中銀が金融政策委員会の結果を公表し、大方の予想通りに政策金利を据え置いた。声明では、これまで使用していた「過剰需要」への言及が削除された。一方「インフレ抑制のために必要であれば、再利上げを行う用意がある」とも述べている。結果発表後にカナダドルは売りで反応し、カナダ円は一時99円台前半まで下落。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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