パウエル証言でドル買い強まる ドル円は137円台に上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが強まり、ドル円は137円台まで買い戻されている。137.40円付近に200日線が来ており、その水準を試しに行くか注目される。
この日はパウエルFRB議長の上院での議会証言が行われ、市場にタカ派な雰囲気が広がった。議長は「正当化されるなら利上げスピード加速の用意」と述べたほか、「利上げの到達水準は想定より高くなる可能性が高い」とも言及。
議長が利上げペースに言及したことで、想定以上にタカ派な印象が市場に広がり、為替市場はドル買いが強まった。米10年債が一時4%台を回復する場面が見られたほか、政策金利に敏感な2年債は5%台に上昇し、2007年以来の高水準となった。
短期金融市場では3月FOMCの0.50%ポイントの大幅利上げを織り込む動きも出ている。また、ターミナルレート(最終到達点)の5.50-5.75%を想定した動きも見られている状況。
市場では今回の議長の証言はタカ派姿勢は継続するものの、バランスを取って来るのではとも見られていただけに、想定よりもタカ派な印象が強いようだ。
ユーロドルは再び1.05ドル台半ばに下落。きょうの下げで21日線に上値を抑えられた格好となており、ユーロドルの上値は依然として重い。目先の下値サポートは1.05ドル台前半が意識される。
市場からはECBのターミナルレート(最終到達点)予想の上方修正が相次いでおり、中銀預金金利を3.75%まで引き上げるとの見方が増えている。消費者物価指数(HICP)を始め、このところのユーロ圏の経済指標が強めの内容が相次いで発表され、加えてECB理事からのタカ派なレトリックが相まって、市場は利上げ期待を強めている模様。短期金融市場では4.00%を少し下回る水準まで織り込む動きも出ている。
ただ、3月のECB理事会では0.50%ポイントの大幅利上げが確実視されているものの、5月以降については、見方が分かれている。利上げペースを緩めるとの予想も少なくはなく、夏の終わりまでに0.25%ポイントずつ計3回の利上げが続くと見込んでいるようだ。一方、利下げについては来年の下期と予想。なお、ECBの現在の中銀預金金利は2.50%。
ポンドドルは1.18ドル台前半まで下落。きょうの下げで200日線を下回っており、明日以降の動きが警戒される。きょうのパウエル議長の証言からも、FRBはまだタカ派姿勢を十分に残していることが明らかとなった。ECBも同様で市場は利上げ期待を強めている状況。一方で、英中銀は逆に利上げサイクル停止が視野に入っている。
きょうはマン英中銀委員のインタビューが伝わっていたが、FRBとECBが計画する利上げの影響を投資家が受け入れる中で、今後数カ月にポンドは一段と下落する可能性があるとの見方を示していた。ただ、ポンド安はインフレを助長することから、国内のインフレへの対応で英中銀はさらなる利上げが必要になる可能性も懸念していると述べていた。マン委員は昨年に前倒しの利上げを主張するなど委員の中でもタカ派として知られている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。