ドル買い一服も市場のドル高期待は根強い ドル円は136円台堅持=NY為替概況
きょうのNY為替市場は米株式市場が一時買い戻されたこともあり、リスク回避のドル買いが一服した。朝方発表の米耐久財受注が弱い内容となったことも、ドル売りを加速させ、ドル円は一時135円台に値を落とす場面が見られた。ただ、135円台に入ると買いオーダーも見られ、136円台は維持されている。市場からは142円台までの上昇の可能性も指摘される中、ドル円は底堅い推移が続いている。目先は137円台前半に来ている200日線や100日線をうかがう展開となるのか注目される。
市場ではドル高への期待が根強い。最近の堅調な米経済指標がFRBの追加利上げ期待を後押しし、ドル高が当面続く可能性があるという。市場は現在、FRBによる3月、5月、6月のあと3回の0.25%ポイントの利上げを織り込んでいる。また、FRBは次回3月のFOMCでの金利見通し(ドット・プロット)で、金利見通しを上方修正する可能性もあるとの指摘も出ている。このような背景から、投資家は今後数週間、ドルのショートポジション形成を思い留まる可能性があるという。
ユーロドルは1.06ドル台に買い戻された。ただ、市場のドル高期待が根強い中、上値での戻り売り圧力も強そうだ。短期金融市場はECBは金融引き締めを来年まで続けると予想しており、ターミナルレート(最終到達点)への到達予想を初めて24年まで後ずれさせている。一時、ECBの中銀預金金利を24年2月に3.90%まで引き上げて、今回の利上げサイクル終了を織り込んだ。数週間前は今年7月に3.50%前後で織り込んでいた。
米インフレと成長に関する一連の強い指標がECBの金利見通しの修正も促しているものと思われる。インフレを抑え込むまで利上げを続けるとのECB理事の発言も影響しているようだ。
今週は2月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)の速報値が発表されるが、コアインフレは過去最高の前年比5.3%を維持すると見込まれている。ECBは3月に予告通りに0.50%ポイントの利上げ実施が確実視されており、5月、6月も利上げが見込まれている状況。5月0.50%、6月0.25%との予想も出ているようだ。
ポンドドルは1.20ドル台半ばまで買い戻された。きょうの上げで1.19ドル台前半から半ばにかけて横たわっている100日線や200日線は維持されている格好。
EU離脱後の北アイルランド国境のプロトコル(手続き)を巡る英国とEUの対立解消に向け、スナク英首相とフォンデアライエン欧州委員長が本日会談し合意に達した。英国から北アイルランド向けの物資は新たに設けられた「グリーンレーン」を通るようになり、EUに流入する恐れのある物資には別途「レッドレーン」が設けられる。グリーンレーンを通って北アイルランドに入る物資は手続きが大幅に削減され、EU向けのレッドレーンの物資はこれまで通り通常のチェックが行われる。
ポンドも若干買いの反応を見せたが、市場からはポンドを大きく支援する材料にはならないと見られている。この問題に関して英国とEUの関係が改善しても、双方の間の広範な貿易環境は改善されず、ポンドにはほとんど影響を与えないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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