強い米小売売上高でドル円は134円台まで上げ幅拡大=NY為替概況
きょうもNY為替市場はドル買いが加速し、ドル円は134円台まに上げ幅を拡大した。前日の米消費者物価指数(CPI)を受けたドル買いの流れが継続し、この日発表された米小売売上高も強い内容で、FRBのタカ派姿勢を裏付ける内容となった。短期金融市場では、FF金利が5.25%より上の水準のターミナルレート(最終到達点)も織り込み始めている。
米小売売上高は前月比3.0%増と予想(1.7%増)を大きく上回ったほか、自動車とガソリンを除いた売上高も2.6%増と予想(0.9%増)を大きく上回った。13の全カテゴリーが増加。米個人消費は昨年末の減速から立ち直り、今年に入って幸先の良いスタートを切ったことが示された。歴史的な低失業率と堅調な賃金上昇で、借入コスト上昇や高インフレの高止まりの中でも、多くの米消費者が商品やサービスへの支出を続けることができたことが示された格好。
ドル円は134.30円付近まで一時上昇し、目先は節目の135円が意識されるが、その上の136円台半ばから後半の水準にフィボナッチ38.2%戻しや200日線の水準が控えている。明日以降、その水準まで試しに行くか注目される。
ユーロドルは戻り売りが続き、一時1.0665ドル近辺まで下げ幅を拡大。1.06ドル台半ばに下値抵抗が確認されているが、その水準をブレイクすると、節目の1.05ドルを試しに行く展開も視野に入りそうな気配だ。
ただ、ユーロを下支えしているECBの利上げ期待は温存されている。3月も0.50%の大幅利上げが有力視され、更なる利上げも期待されている状況。きょうはECB理事のマクルーフ・アイルランド中銀総裁のインタビューが伝わっていたが、「ECBが年内に利下げすることは恐らくないだろう。中銀預金金利が3.50%を上回ることも予想できる」と語っていた。
ポンドドルは戻り売りが続き、1.20ドルを割り込む場面も見られた。再び21日線を下放れる展開が見られており、1.19ドル台半ばに来ている200日線を試しに行くか注目される。
きょうは1月の英消費者物価指数(CPI)が発表された。総合指数は前年比10.1%に低下し、注目のサービスインフレも6.0%まで低下している。前日の英雇用統計と合わせて一連の重要指標を通過したが、市場では見方が分かれている。
本日の英CPIからすれば、3月の0.25%の利上げで英中銀の引き締め政策は一旦終焉との見方の一方、インフレの鈍化が確認されているが、依然として賃金の伸びが高く、サービスインフレを高止まりさせるリスクがあることから、5月も追加利上げが必要との見方もあるようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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