ドル円は130円台回復 米経済指標を受けドル買い優勢=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となり、ドル円も130円台を回復した。朝方発表になった第4四半期の米GDP速報値が予想を上回ったことや、同時刻に発表の米新規失業保険申請件数も労働市場の強さを示した。
直近発表の米経済指標は弱い内容が多く、それがFRBが予想よりも早く慎重姿勢に転じるとの見方に繋がっていた。米地区連銀総裁などのFOMC委員は否定しているものの、市場には年内の利下げ観測が根強く残っている。しかし、きょうの強い米経済指標はその見方を一服させたのかもしれない。
ただ、米GDPについては個人消費が予想を下回り、在庫の増加が主な要因となっていた。市場からは、健全なペースでの拡大が示されているものの、FRBの積極利上げが今年の成長見通しを危うくしていることを暗示しているとの声も聞かれる。
ドル円は130円台半ばまで一時上昇。本日の21日線がその付近に来ており、顔合わせしている。しかし、そこから上の売り圧力も強いようで、現状は上値を抑えられている状況。
ユーロドルは戻り売りに押された。ロンドン時間は1.09ドル台での推移となっていたが、NY時間に入って一時1.08ドル台半ばに伸び悩む動き。ユーロドルはリバウンド相場を継続しているものの、来週のFOMCやECB理事会といった重要なイベントリスクを前に、心理的節目の1.10ドルには慎重になっているようだ。
ユーロへの楽観的な見方は当面続くとの声もある一方、今後欧州のエネルギー危機が次の段階に直面する可能性があるため、それは長続きはしないとの指摘も出ている。エネルギーは依然として欧州経済の見通しに対する大きなリスクだという。これまでの欧州の冬は予想外の暖冬となっており、ガスの貯蔵量も十分で、企業も使用を抑制しているため、エネルギー危機は緩和されている。それがECBのタカ派姿勢を支援し、ユーロを支えている。しかし、季節はまだ1月で、EUは次の段階の冬に備え始めなければならないとしている。
ユーロドルの1カ月先の予測値は1.09ドルを維持するが、3カ月後には1.06ドルまで下落する余地もあると見ているという。
ポンドドルはNY時間に入って一時1.23ドル台半ばに伸び悩んだものの、後半に1.24ドル台に戻す展開。いまのところリバウンド相場の基調に変化はないが、節目の1.25ドルを前に次第に上値が重くなっている印象もある。来週はFOMCやECB理事会のほか、英中銀金融政策委員会(MPC)も予定されている。それらのイベントリスクを確認したい意向も強まっているのかもしれない。
その英MPCだが、0.50%の利上げが見込まれている。先日発表の英消費者物価指数(CPI)や英雇用統計を受けて、インフレ鈍化の傾向がまだ明確に見られていないことから、英中銀は大幅利上げを続けると見られているようだ。
ただ、英経済のリセッション(景気後退)への警戒感も強まる中、英中銀が声明などで慎重な見通しを示した場合、ポンドは下落の可能性があるとの見方も出ている。英中銀はMPCで慎重な見通しを示す可能性が高く、ポンドは敏感に反応するリスクがあるという。英中銀はしばらく利上げを続けると見られているが、市場では年内に少なくとも1回の0.25%ポイントの“利下げ”を完全に織り込んでいる状況でもある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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