【これからの見通し】クリスマス週に日銀が一石投じる、円高進行に警戒
【これからの見通し】クリスマス週に日銀が一石投じる、円高進行に警戒
年内最後の日銀金融政策決定会合は意外な結果となった。世界的な利上げ局面のなかで、これまで頑として超金融緩和姿勢を崩さなかった日銀が、突然にYCCの変動幅を0.25%から0.50%に拡大した。各国がそろそろターミナルレートの水準や時期を探る段階に入っての発表となっている。市場はサプライズとなり、一気に円高が進行している。
初動ではドル円急落とともに、ドル売りの反応をみせたユーロドルなどは、クロス円の下落圧力を受けて値を戻している。豪ドル/ドルに至っては上昇分の倍返しでの大幅下落となっている。主要なクロス円相場は4-5円幅で急落している。
日本の長期債利回り上昇の許容幅が拡大されたことに、米債利回りなど各国の債券利回りも上昇で反応。米10年債利回りは一時3.7%を上回った。日本株をはじめとしたアジア時間の株式市場は急落している。
このような状況下で、まずは黒田日銀総裁会見中の相場動向に注意したい。今年のドル円相場は40円弱の大幅な値動きを示しているが、その半値水準が132円台後半に位置している。この水準を下回るようだと、一段の円買いが誘発される可能性もあり、注意しておきたい。また、短期ボラティリティーが急上昇していることから、相場の揺り戻しも激しく入りそうだ。静観、ポジション縮小など冷静な対応が求められるところだ。
この後の海外市場で発表される経済指標は、ドイツ生産者物価指数(11月)、ユーロ圏経常収支(10月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)(12月)、香港消費者物価指数(11月)、カナダ小売売上高(10月)、米住宅着工件数(11月)など。
発言イベント関連では、上記の黒田日銀総裁会見のほかにはカジミール・スロバキア中銀総裁、ミュラー・エストニア中銀総裁などの講演イベントが予定されている。米主要企業決算はナイキ、フェデックスなどが注目される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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