ドル円に見切り売りも FOMCは狭い反応に留まるとの見方も=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は買戻しも見られ109.40円近辺まで戻したが、本日はドル売りが優勢となる中で一時109.10円近辺まで下落した。強いサポートとなっていた109.60円水準をブレイクしたことで、ある種の見切り売りも出ていた模様。109円台後半に来ている100日線や21日線の水準を下放れる展開となり、テクニカル的にも下値警戒感が高まったことから、モデル系ファンドと思われる売りも断続に入っていたようだ。
前日の米消費者物価指数(CPI)が高インフレのピークアウトの兆候を示したことで、FRBの慎重姿勢は続くとの見方につながっている。来週はFOMCが予定されているが、資産購入ペース縮小は議論されるものの、アナウンスはないとの見方が確実視されているようだ。FOMCはドルにほとんど影響を与えず、新たに為替市場のボラティリティを刺激する可能性は低く、狭い範囲の反応に留まるとの見方も出ている。
ユーロドルは1.18ドル台を堅持しており底堅い推移を続けている。ただ、ECBは先日の理事会で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下での資産購入ペース縮小開始の姿勢を打ち出したものの、同時に慎重姿勢も引き続き強調していた。そのような中で、ユーロの上値に積極的になる投資家もまだ少ないようだ。
ECBは慎重姿勢を強調したままだが、市場の一部からは、最近のインフレ急上昇は12月の理事会に向けて、超緩和的な措置からの脱却を支持するタカ派のECB理事を大胆にするはずだとの見方も出ている。インフレ上昇をリスクとして再評価し、それをヘッジする価値があるという。その一方で、多くの理事が足元のインフレ急上昇を一時的な現象とみなしており、近い将来にECBがスタンスを変える可能性は低いとも指摘した。
ポンドドルはNY時間の朝方に1.3855ドル付近まで買い戻されていたものの、その後は伸び悩む展開が見られている。200日線が1.3835ドル付近に来ており、現在はその水準での値動きとなっている。
きょうは8月の英消費者物価指数(CPI)が発表されていたが、総合指数は前年比3.2%と9年ぶりの上昇率となった。コア指数も3.1%上昇していた。ポンドは買いで反応していたが、市場からは、今回の強いCPIの結果を受けても、英中銀が緩和縮小を加速させる可能性は低く、企業と株式市場の回復を支援し続けるはずだとの見方も出ている。英中銀はインフレよりも景気回復に重点を置いており、引き続き緩和策の緩やかな解除が期待されるという。英経済の不確実性は高いままであり、インフレ加速の多くは一時的なものである可能性が高い中で、英中銀は緩和状態を長期間続けると見ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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