ドル円は108円台前半で振幅 カナダドルが急伸=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は108円台前半での振幅が続いた。107円台に何度か値を落とたものの、押し目買いに支えられ108円台はサポートされている状況。107円台に入ると、日本の個人投資家やクロス円絡みの買いが入るようだ。
ただ、買戻しを強める気配もない。ドルロングの巻き戻しのほか、リスク回避の円買いも上値では出ているようだ。世界的な感染拡大の兆候が再び強まっており、日本では東京や大阪、兵庫の3都府県に緊急事態宣言が出される予定となっている。
3月末の直近高値から300ポイント下落しており、そろそろ下げ一服感も出てはいるものの、買い戻しのモメンタムもないようだ。きょうは上昇しているものの、米株や米国債利回りも上値の重い雰囲気を見せ始めており、ロング勢も慎重になっているものとみられる。
ユーロドルは4月以降の上げに一服感も出ており、戻り売りに押される場面も見られていた。ただ、心理的節目の1.20ドルに接近すると押し目買いも旺盛に入るようで、1.20ドル台は維持されている。
明日はECB理事会が開催される。政策は据え置きが確実視されており、ラガルド総裁の会見が注目されるが、スタンスに変化はなく、「好条件での資金調達環境を維持」との文言を繰り返すものとみられている。市場からは、直近発表のユーロ圏の経済指標が好調なことから、今週の理事会でその検証が行われるとの見方が出ている。市場では、ECBは7月までにパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)下での債券購入を減速させ、12月会合では、来年3月に現在の方針通りの終了を打ち出すとの見方が有力視されている。それに向けた発表が6月にあるとの見方もあり、今回の理事会はその6月理事会に向けた前段階との位置づけもあるようで、何らかのヒントを示唆するか注目される。
ポンドドルはNY時間に入って買い戻しの動きが見られ、1.39ドル台前半まで戻している。NY時間にかけて一時戻り売りが強まり、1.38ドル台に下落していたものの、NY時間に入って1.39ドル台に買い戻された。
ロンドン時間に英消費者物価指数(CPI)が発表になっていた。予想ほどではなかったものの、前回からインフレは上昇傾向が見られている。パンデミックのショック、ホスピタリティ部門の付加価値税(VAT)引き下げ、そして、エネルギー価格の急落で昨年は一時的にインフレはゼロに押し下げられたが、今回のデータはこれらの一時的な要因が薄れ始めていることを示した形。
きょうはカナダドルが急上昇。カナダ中銀の金融政策委員会の結果が公表され、金利は予想通りに据え置きとなったものの、国債購入は従来の週40億加ドルから30億加ドルに縮小した。国債購入のペース縮小は予想通りではあったものの、声明で「22年末までにスラックが吸収され、インフレの目標到達を見込む」とした。これまでは23年まではないとしていた。「スラックが吸収されるまで利上げはない」とも再度言及していたが、利上げのタイムラインを22年に前倒ししたとも言える。市場の事前予想では国債購入ペース縮小は予想していたものの、先行きには慎重姿勢を堅持するとみられていた。これを受けカナダドルは買いが強まった格好。カナダ円は86円台後半まで一時急上昇した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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