【来週の注目材料】米消費者物価指数はやや反発見込み
【来週の注目材料】米消費者物価指数はやや反発見込み
13日に10月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通り0.25%の利下げとなりました。ただ12月については見通しがかなり分かれており、金利先物市場動向から計算された利下げ確率は65%、同じく短期金利市場からの計算では45%という状況。短期金利市場は半分以上が据え置きを見込んでいます。
こうした中、今月1日に発表された10月の米雇用統計はかなり厳しい数字となりました。ただ、今回の雇用統計は9月末から10月にかけて米南東部を中心に甚大な被害をもたらしたハリケーン「へリーン」「ミルトン」の影響がかなり大きく入っているとみられています。そのため、金融政策の変更という面では割り引いて考える必要があります。物価については前回鈍化を見せたことで利下げのハードルが下がる展開となっています。今後も鈍化が続くようだと、12月の利下げ期待に影響が出る可能性があります。
前回9月のCPIを振り返ります。
前年比は+2.4%と8月の+2.5%から小幅鈍化となりました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+3.4%とこちらは8月の+3.3%から小幅反発しています。前月比は+0.2%、コア前月比は+0.3%となりました。いずれも市場予想の前年比+2.3%、コア前年比+3.3%、前月比+0.1%、コア前月比+0.2%を上回る伸びとなりました。
9月はガソリン価格を中心にエネルギー価格の下落が見られましたので、ある程度の鈍化が見込まれていました。エネルギーは実際に前年比-6.8%と8月の-4.0%超える低下となりました。もっとも食品が前年比+2.3%と8月の+2.1%を超える伸びとなり、変動の激しい項目の下げが思ったほど大きくなりませんでした。
コア部分では衣料品がしっかり。毎月のように厳しい鈍化を見せる中古車も-5.1%とそれまで3カ月続いた10%を超える低下から、少し落ち着いた低下となり全体の押し上げに寄与しました。
サービスは航空運賃が2023年3月以来約1年半ぶりにプラス圏となりました。鈍化が鈍い住居費は+4.9%まで伸びが鈍化。5%を割り込むのは2022年2月以来となります。
今回の予想は前年比+2.6%と9月から少し反発見込み。コア前年比は+3.3%、前月比+0.2%、コア前月比+0.3%とこれらは9月と同水準の伸びが見込まれています。米国では9月から10月にかけてガソリン価格が低下。EIA(米エネルギー庁エネルギー情報局)による全米全種平均では9月の1ガロン当たり3.338ドルから10月は3.261ドルとなっています。しかし、2023年の9月から10月にかけてはより大きくガソリン価格の低下が見られ、EIAベースでは前年比でのマイナスが縮小することなどから、全体の反発につながると見込まれています。
コアが横ばい見込みということで、相場への影響は限定的になる可能性が高いですが、5日の米大統領選でトランプ共和党大統領候補が勝利したことを受けて、今後物価への警戒感が強まってくる可能性がある点には要注意です。トランプ氏は減税、高関税などを公約としてきています。規制緩和や産業保護などの姿勢もあり、今後米国の物価は上昇していく可能性が高いとみられます。こうした見通しが元々利下げ実施が見込まれていた12月のFOMCについて、短期金利市場で据え置きが大勢になるなどの状況につながっているとみられます。
予想から上振れした場合などは、物価への警戒感が強いだけに相場への影響も大きなものになる可能性がある点に注意したいところです。
なお、大統領選がらみでは閣僚人事にも注目が集まります。大統領首席補佐官にはスーザン・ワイルズ氏が就任の見込み、米通商代表(USTR)にはトランプ氏の1期目の政権で同職についていたロバート・ライトハイザー氏に要請することが報じられています。市場の注目は財務長官人事。ヘッジファンドのキースクウェアキャピタルを率いるスコット・べセント氏や元SEC委員長のジェイ・クレイトン氏などの名前が挙がっています。べセント氏はFRBへの圧力に前向きな姿勢を見せており、市場の警戒感につながる可能性があります。
執筆者 : MINKABU PRESS
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