ドル円は下げ渋るも上値重い ポンドが急上昇 英財務相の突然の辞任で逆に思惑高まる=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は下げ渋ったものの、上値は重い展開が見られた。中国のコロナウイルス感染について前日は、感染者数は増えているものの、増え方が鈍化しており、ピークが近づいているとの期待が出ていた。米株も最高値更新し、ドル円も110円台を回復していた。しかし、中国当局が確認基準を変更し今度は、感染者数が12日に1万4840人増と急増したことを明らかにし、きのうの楽観ムードは一気に冷めている。また、FOXニュースが、「中国当局はコロナウイルス感染を少なくとも10万人過少報告している」と伝えたこともドル円を押し下げた。
ドル円は109.65円近辺まで下落していたが、米株が下げ渋ったことで、ドル円も下げ渋っている。中国当局が症例を過少報告しているというリスクは、以前から意識されていたこともあり、ニュースの割には下押しする動きも限定的な印象もある。ドル円は今年に入って、110円台乗せに2度失敗しており、早期に戻せるか注目される。21日線が109.55円付近に来ており、目先の下値サポートとして意識。
きょうもユーロドルは下値模索が続き、一時1.0835ドル付近まで下落し、2017年以来の安値水準を更新。中国と伴にユーロ圏経済への懸念にもつながっており、ユーロを圧迫しているようだ。中国との結びつきと言えばドイツだが、一部からは明日のドイツGDP速報値の発表に警戒感も示されている。前期比0.1%のプラス成長が見込まれているが、マイナス成長に陥る可能性も指摘。
きょうはポンドが急上昇しており、ポンドドルは1.30ドル台を一気に回復。ジャビド財務相の突然の辞任が思惑を呼んでいるようだ。ジョンソン首相がジャビド財務相に最側近の解雇を要求した。ただ、同財務相はそれに反発して辞任選んだ格好。後任にはスナック氏が指名されている。
辞任が伝わった直後はポンド売りが強まったが、すぐに買い戻しが強まり、その動きを見たショート勢が一斉にショートカバーを入れたようだ。1.30ドル台前半に来ている21日線を一気に突破し、一時1.3070ドルまで上昇。
4週間後には予算案の発表が予定されているが、ジャビド財務相らは思い切った財政拡大に消極的で、ジョンソン首相の不満が強まったためと見られている。市場は、ジョンソン首相の今回の行動を逆に、大胆な財政拡大策を首相は目指しているとの思惑に繋げたようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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