米中が合意に署名 目新しい内容もなく反応限定的=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってドル円は109円台後半での振幅が続いている。午後になって米中が合意に署名し、詳細も伝わった。中国が2年間で2000億ドルの米製品の輸入を増やす内容のほか、知的財産保護強化や為替の透明性、金融サービスの開放なども盛り込まれた。米製品の輸入については事前に伝わっていた内容の通り。また、知的財産保護などについては、コミットメントと言うよりも野心的目標に近いとの指摘も出ている。全体的には目新しい内容もなく、為替市場は限定的な反応に留まっている状況。
ドル円は109円台後半での振幅に終始。全体的にはドル売り優勢の展開で、ドル円も戻り売りが出ているものの、株式市場が底堅さを堅持しており、円安がドル円をサポートしている。市場では、今回の合意で貿易問題の緩和が期待されるものの、中国経済への圧迫が緩和することはないとの指摘も聞かれる。米国は12月に追加予定だった関税を見送っただけで、既存の関税は残っている。一部関税については、2月中旬から半分に引き下げられる予定。
関税撤廃については第2段階以降の交渉次第で、トランプ大統領は、第2段階の合意は11月の米大統領選挙後と述べていた。補助金と国有企業改革など中国の国家資本主義モデルの中心にある多くの問題が第2段階の交渉内容になるものと思われる。補助金と国有企業改革は中国政府にとっては根幹にかかわる課題でもあり、交渉は難航も予想される。その間に再び両国がエスカレートする可能性は否定できない。いずれにしろ、第1段階の合意に市場自体が少し期待し過ぎていた面は否めない。
ユーロドルは1.1160ドル近辺まで上昇。ユーロ自体に買い材料は見当たらないが、ドル売りがユーロドルを押し上げている。きょうの上げで1.1140ドル付近に来ている200日線を上回る動きが見られており、リバウンド相場に再度戻せるか、明日以降の動きが注目される。
ユーロ圏経済の減速は緩和にはほど遠い状態が続いており、ECBの緩和はより長期に渡るとの見方を裏付けている。しかし、市場では、FRBの利上げ期待が全くなくなる中、ドルのバリュエーションの高さが指摘されており、今年のユーロドルに強気な見方も少なくはない。ただ、目先はファンダメンタルズよりもECBの戦略見直しが注目されているようだ。次回のECB理事会は来週23日に予定されている。
ポンドドルはNY時間に入って買い戻しの動き。きょうも1.29ドル台に下落したものの、1.30ドル台はサポートされている。ここに来て英中銀の利下げ期待も高まっており、ポンドドルは軟調な動きが出ているものの、次第に下値も堅くなって来ている様子もうかがえる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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