【来週の注目材料】米NFPは前回から少し改善期待もいま一つ冴えず~米雇用統計
米国の年内追加利下げ期待について、市場及びFOMC関係者内の見方が分かれる中、カギを握る指標の一つである米雇用統計(9月分)が4日に発表されます。
前回8月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+13.0万人と、事前見通しの+15.8万人、7月分の+15.9万人(+16.4万人から下方修正)を下回る若干弱い数字となりました。
すでに完全雇用に近いといわれる米国の状況を考えると、決して弱い水準ではありませんが、予想をしっかりと下回ったということもあり、追加利下げへの期待感を支える結果となりました。
前回の内訳をみると目立っていたのが7カ月連続での雇用減となる小売部門(-1.11万人)。比較的ブレが大きい部門であるが、景気動向に敏感な部門でもあり、やや気になるところ。一方で雇用の先行指標と言われるテンポラリースタッフ部門は4カ月ぶりにプラス圏に復帰(+15.4万人)した。先行き警戒感を若干ながら後退させる数字となっています。
その他指標は失業率が予想通りも、労働参加率が0.2%ポイント上昇の中での維持ということで、こちらは好結果(一般的に労働参加率上昇は失業率の悪化要因)。
平均時給は前月比、前年比ともに予想を上回る好結果となりました。
こうした状況を受けての今回の雇用統計ですが、NFPの予想は+14.0万人と、前回よりの強めとはいえ、水準的には今一つという数字。失業率は据え置き、平均時給は前月比が前回よりも引く+0.2%、前年比は前回と同じ+3.2%の予想です。
悪くもなく良くもなくといった水準。予想前後の数字では市場の反応は限定的となりそう。
NFPが予想を下回り、前回の数字をも下回るような弱めの数字になると、年内追加利下げへのハードルがかなり下がる印象(雇用の堅調さは追加利下げ反対派の理由の一つ)で、利下げ期待拡大からのドル売りが期待されるところです。
来週の指標としては、雇用統計の前哨戦としての位置づけに加え、前回の弱さからの警戒感も見られるISM製造業景気指数(9月)も要注目。
前回は予想を大きく下回り、3年ぶりに経済活動の拡大収縮判断の境となる50をも下回る49.1となり、市場を驚かせました。水準的には2016年1月以来3年半ぶりの弱さでした。
内訳もかなり厳しいもので、新規受注は約7年ぶり、生産は3年半超ぶりの弱い数字。
雇用統計との関係で注目される雇用部門は47.4と50を大きく下回り2016年3月以来の低水準となりました。製造業の雇用については、6月と7月の雇用統計で同部門が強めに出て居たことから、かなりのサプライズでした。
通商摩擦問題から注目を集める輸出受注は43.3と、こちらは2009年4月と、リーマンショックの中でリセッションの最中であった時期以来の低水準となっています。
米中通商摩擦問題の影響が意識された前回の指標だけに、今回どこまで回復を見せているのかが注目されます。予想は50.5と、節目の50を回復すると期待されています。内訳も含めて要注目です。
なお、雇用統計の関連指標としては2日のADP雇用者数、3日のISM非製造業景気指数なども合わせて要チェックです。
ADPは今回+13.8万件と、前回の+19.5万件から一気の鈍化見込み。
ISM非製造業景気指数は、前回、製造業とは対照的に予想を上回る56.4の好結果。前々回が53.7と弱かったこともあり、2008年2月以降最大の伸びを記録しました。一方で雇用部門は53.1と50を超えているとはいえ、水準的には2017年3月以来の低水準と冴えませんでした。今回の予想は55.0と、前回からは鈍化もまずまず。こちらも内訳も合わせて気にしたいところです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
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執筆者 : MINKABU PRESS
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