ドル買い優勢の中でドル円は108円台半ば 米中首脳会談を無難通過も世界経済への不透明感も=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となった。先週末の大阪G20サミットの際の米中首脳会談を無難に通過して、週明けの東京市場でドル円は買い先行で始まった。きょうは108.50円水準を2度試す場面が見られたが、いずれも上値を拒まれている。ただ、108円割れを試す動きもなく、NY時間に入って再び試す動きが見られた。
ドル円は先週前半に106円台まで下落した後に上げに転じている。きょうの上げで21日線を回復してきており、リバウンド相場に転じた感もあるが、この日の各国の製造業PMIが低下傾向が続くなど、世界経済の先行きに対する不透明感も根強い中、なお上値には慎重なようだ。あくまで自律反発の範囲を抜け出ていない雰囲気。
108.70/75円水準に上値抵抗が観測されている。今週は重要な米経済の発表が相次ぐが、この水準を突破できるか目先は注目される。上値追いはそれを待ちたいといった声も聞かれる。
ユーロドルは1.13ドルを割り込んだ。きょうの下げで200日線と21日線を再び下回っており、FRBの利下げ期待を背景にしたリバウンド相場に黄色信号が点灯。きょうは6月のユーロ圏PMI確報値が発表されていたが、製造業、非製造業とも弱い内容が続いている。
ECBの緩和期待も高まっており、今月25日のECB理事会での利下げの可能性まで指摘されている。ECBのチーフエコノミストとなったレーン理事がヘルシンキでの会議で、「ECBの政策手段が有効だったと言うことは、つまり目標達成のために必要であればさらなる金融緩和が可能であることを意味する」と語っていた。
ポンドも売りが優勢となり、ポンドドルは1.2635ドル付近まで一時下落し21日線を下回った。米中首脳会談を通過して市場はポジティブな反応を見せたものの、改めて世界経済への不安感も出ている。6月の英製造業景気指数が発表され、48.0と3ヵ月連続で低下し、統計開始以来の低水準となった。英中銀はなお経済のファンダメンタルズには自信を示しているが、米中貿易問題やEU離脱が企業のセンチメントに影を落としている模様。
ポンドドルは先月に直近安値1.2505ドルをつけたあと、リバウンドの動きも見せていたが、次第に上値が重くなっている印象もある。21日線を再び下回って来ており、明日以降の動きが警戒される。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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