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とれんど捕物帳 ドルが意外に健闘している印象 ドル円は底堅い展開

為替 


 今週もドル円は底堅い展開を続けている。110円台はかなり上値抵抗が強いようだが、下げない。109円台をしっかりと維持している。何とか110円突破を試みようとしている雰囲気だ。最大の要因は、10-12月期の米企業決算に対する株式市場の反応であろう。10-12月は予想を上回る利益を計上しているが、市場の関心は今年の見通しだ。予想通り米企業も慎重になっているようで強さはない。ただ、いまのところは、昨年後半に見られたような悲観的な受け止めは少なく、過度に悲観的なムードは改善している様子もうかがえる。

 そのような中、ドルが意外に健闘している印象だ。FRBが突如、慎重姿勢を強調し始めたことで、米金利先高観は大きく後退している。以前からドルは割高との見方は多く、ドル安志向はいまも根強い。ドルを買うインセンティブはないのだが、結局、ユーロがドル安の受け皿になれていない点が大きいのであろう。今週はECB理事会が行われたが、予想通りに政策は据え置かれた。注目はドラギ総裁の会見だったが、「景気見通しに対するリスクは下向きに移動した」と言及。ユーロ圏最大の経済大国であるドイツの経済に暗雲が立ち込めており、ECBも慎重になっているのであろう。このところのドイツの経済指標は弱い内容が目立ち、ドイツ政府も今年の成長見通しを1%に下方修正するようだ。

 今回もECBは、夏終わりまでの金利据え置きをコミットしている。市場は9月には利上げとの声も多かったが、ここに来て利上げ期待が急速にしぼんでおり、年内にあるかないかといった期待感に後退している模様。一方、FRBは慎重にこそなってはいるが、年内に利上げがないとの見方まではない。1回か2回かといったところ。もし、市場の焦点がFRBの利上げ回数にシフトすれば、意外にドルは健闘する可能性があるのかもしれない。

 米国の場合、内需主導なので、個人消費さえしっかりしていれば、何とかなってしまう。雇用の状態がまだかなり強い一方、インフレは落ち着いているので、足元は消費が極端に落ち込む要素がない。米家計への影響も大きい株式市場が、過度に悲観的にならなければ、2回利上げのシナリオが有力となり、潮目がドル高に流れる可能性も留意される。なお、来週のFOMCでFRBは、バランスシート縮小を予定より早期に終わらせ、大量に保有している国債を維持することを検討との報道が伝わっていた。来週のFOMCはその辺が注目となろう。

 「足元は消費が極端に落ち込む要素がない」と述べたが正確には、「トランプリスクを除けば」という文言を追加しておく。米政府機関閉鎖が長引いている。国境警備の強化ではトランプ大統領も民主党も一致しているようだ。唯一の対立点は壁を作るかどうかの一点だけだ。一応、週末に議会指導部とトランプ大統領の間で2月15日までの暫定予算案で合意した。政府機関は再開されるが、たった3週間で根本的な解決には至っていない。

 テクノロジーの進歩著しい21世紀に、「壁」ってどうなんだろう!。太古の昔は軍事目的で作った国や地域が多かったように思われるが、トランプ大統領は現代の不法移民対策の切り札と考えているようだ。日本であれば城の石垣がそれに相当するのかもしれないが、トランプ大統領も、加藤清正のような壁を作りたがっているのか?。

 そのモチベーションがどこから来るのかは不明だが、選挙中に口に出してしまった以上、約束は守るという事なのかもしれない。トランプ大統領はビジネスマンだ。公約というよりも契約に近い意識があるのかもしれない。不法移民対策に有効かどうかは不明だが、観光資源には恐らくなるであろう。

 冗談はさておき、いずれにしろ市場的には、さっさと落とすところに落として、安心させてほしいものである。米政府機関閉鎖がまた続けば、第1四半期の成長を圧迫するとの予測も多く出始めている。米大統領経済諮問委員会(CEA)のハセット委員長は、米政府機関閉鎖が3月末まで続けば、第1四半期の成長はゼロになる可能性があるとの見方を示していた。せっかく、市場のムードが改善してきているので、何とかしてほしいものである。

 さて来週だが、本格化する米企業決算はもちろんだが、米中貿易協議やFOMC、米雇用統計、そして、英議会では、メイ首相が新たに提出する「合意なき離脱」回避を目指す修正案が審議され、重要イベントが目白押しだ。特に米中協議は市場の関心度が高い。最終合意には至らない可能性は高いが、市場を失望させるような内容にはならないであろう。協議終了後、双方が声明を発表するようだ。また、上記の通り、来週のFOMCでは、バランスシート縮小を予定より早期に終わらせ、国債の大量保有は維持することを検討する可能性がある。もし、そうであればドル売り材料ではあるが、これらのイベントを株式市場が乗り切ってくれれば、ドル円は底堅い展開も予想される。

 来週のドル円の予想レンジだが、108.50~110.50円を想定。スタンスは「やや弱気」から「中立」に引き上げたい。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 ↑↑(→)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 →(→)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 下から中立へトレンド変化
短期 ↑↑(↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 下から中立へトレンド変化
短期 →(↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上から中立へトレンド変化
短期 ↓↓(↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美


MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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