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為替相場まとめ12月1日から12月5日の週

為替 

 1日からの週は、日米金融政策の方向性の違いが鮮明となり、ドル売り・円買いが進行する展開となった。最大の特徴は、日銀の12月利上げ観測の急激な高まりである。週初、植田総裁が利上げの可能性に言及したことで市場は織り込みを開始。中盤には一時的な調整で156円台への持ち直しも見られたが、週末にかけて「12月利上げの公算大、政府も容認」との報道が伝わると円買いが加速し、ドル円は一時154.55円付近まで下落して安値を更新した。一方、米国ではADP雇用統計やISM非製造業指数などの重要指標が予想を下振れ、労働市場の軟化と景気減速懸念が台頭した。これにより来週のFOMCでの利下げ期待が確固たるものとなり、ドルの重石となった。この結果、金融引き締めに向かう日本と緩和に向かう米国の対比が際立ち、ドル円は上値を切り下げる展開が続いた。欧州通貨においては、ドル安の裏返しでユーロやポンドが対ドルで上昇し、高値を更新する堅調な地合いを維持した。総じて、来週の重要イベントを前に、投機的な円売りポジションの巻き戻しとドルロングの調整が相場を支配した一週間であった。

(1日)
 東京市場では、植田日銀総裁が名古屋で利上げの可能性に言及したことを受けて円買いが先行し、ドル円は156.20付近から一時155.40付近まで下落した。米株先物やビットコインの下げが相場心理を冷やし、リスク回避の円買いが優勢となった。短期金利市場では12月会合での利上げ確率が前週の63%前後から75%を超え、その後は84%台まで上昇した。ユーロ円は朝の181.30付近から180.20付近まで、ポンド円も206.90付近から205.50付近へ下落。全体として円高主導の展開となり、ドル円を中心に地合いの重い動きが続いた。
 
 ロンドン市場では東京に続き円買いが優勢となり、ドル円は155.00割れを試す動きとなった。植田総裁が12月会合で利上げを議論すると明言したことで、市場は日銀の利上げを約8割織り込む展開。ユーロ円は180.80付近まで戻したものの上値は鈍く、ポンド円は205.20付近まで軟化。ユーロドルは1.1600近辺から1.1620付近へ上昇し、ドル安の側面もみられたが、ポンドは軟調。英消費者信用残高や住宅ローン残高の減少が英中銀の利下げ観測を強めた。ドル円はロンドン午後にかけ155.30付近で方向感を欠いた推移となった。

 NY市場ではドル円が一時154.65付近まで下げ、心理的節目の155.00を割り込む場面がみられた。前半は円買いが優勢だったが、後半には押し目買いも入り、155.50付近で取引を終えた。植田総裁が「仮に利上げをしても金融環境は緩和的」と述べたことが利上げに前向きと受け止められ、円買いを誘った。短期金融市場では利上げ確率が80%に上昇し、一方でFOMCの追加利下げ観測がドルを圧迫。ユーロドルは1.1650付近まで上昇し、ユーロ円は180.30付近へ下落。ポンド円は205.30付近でもみ合いとなった。

(2日)
 東京市場では、前日の急激な円高に対する調整が入り、ドル円は155.50付近から155.80付近まで回復。朝方からドル買い戻しが進み、NY市場安値の154.60付近から一転して堅調に推移した。新規材料に乏しく、米金利や株価も落ち着いていたため、値動きは緩やかだった。ユーロ円は180.40付近から180.80付近まで上昇し、ポンド円も205.30付近から205.80付近へ上昇。ユーロドルは1.1610近辺での小動き、ポンドドルは1.3200台を維持。全体的に前日の行き過ぎた円買いに対する調整相場が続いた。

 ロンドン市場では、東京時間からの円売り基調が継続し、ドル円は156.00付近に上昇した。前日の円買いによる急落をほぼ解消し、株式市場の底堅さを背景にリスクオンによる円キャリー取引が復活。ユーロ円は181.10付近、ポンド円は206.20付近まで上昇するなど、主要クロス円が総じて堅調に推移した。ユーロドルは1.1600台前半の小動きにとどまり、ポンドドルは1.3200近辺から1.3180付近へとやや軟化。OECDの世界経済見通しが据え置かれたことが市場の安定感を支え、全体として円安ムードが勝った。

 NY市場ではドル円が一時156.10付近まで上昇した後失速。円キャリー取引継続への期待が根強く、ドル円は下値を支えられたが、日銀の利上げ観測が重石となった。ユーロドルは1.1610付近で方向感に欠け、ユーロ円は180.80近辺で推移。ポンド円は206.20付近まで反発後、上値が抑えられた。ポンドドルは1.3200付近での横ばい。市場では12月利上げ織り込みが進む一方、その後の日銀スタンスを見極めたいとの姿勢が強く、為替の値動きは限定的であった。米株堅調ながらドルの上昇は鈍かった。

(3日)
 東京市場では、前日のドル高円安局面に対する反動からドル円は155.80付近から155.50付近へ下落した。朝方は156.10の高値を維持できず、利上げ・利下げ織り込み相場の中で一進一退。仲値にかけて一時155.70付近まで買い戻される場面もあったが、午後には再び155.50付近まで軟化した。ユーロドルは1.1640付近まで上昇し、ユーロ円は181.20前後で小動き。ポンド円は206.00付近でもみ合った。豪州では中銀総裁のタカ派発言やGDP改善が追い風となり、豪ドルが堅調に推移した。全体的に様子見姿勢が強まった。

 ロンドン市場ではドル売り優勢となり、ドル円は155.50を割り込み155.40付近まで下落した。米ADP雇用統計やISM非製造業指数を控え、ポジション整理のドル売りが進んだ。ユーロドルは1.1660台へ上昇し、ユーロ円は181.40付近で堅調。ポンドドルは1.3290付近まで上伸し、ポンド円は206.70近辺に上昇した。欧州・英国の非製造業PMI確報値は総じて予想を上回り、特に英国データがポンド買いを支えた。リスク選好の動きが広がるなか、ドル売りと円安が交錯する展開となった。

 NY市場では弱い米指標を受けドル安が優勢となり、ドル円は一時155.00割れを試した。ADP雇用統計が予想外の減少、ISM非製造業指数も低下し、米利下げ観測が強まった。労働市場の軟化がドル上値を抑える一方、日銀の利上げ観測が円を支えた。ユーロドルは1.1675付近まで上昇し、10月下旬以来の高値を更新。ユーロ円は180.00台へ一時下落。ポンドドルは1.3350前後まで上昇し、ポンド円は207.00を回復する場面もあった。為替市場はドル安主導の流れが継続し、欧州通貨高が目立った。

(4日)
 東京市場は、ドル円は来週の米FOMCでの利下げ期待を受けたドル売りにより、155.02付近まで下落して始まった。午前中は行き過ぎたドル売りへの警戒感や円安基調への意識から買い戻しが優勢となり、一時155.54付近まで上昇した。しかし午後は流れが一変。「日銀が12月会合で利上げを行う公算が大きく、政府も容認」との報道が伝わると再び売りが強まり、155.20付近割れまで下落した。ユーロドルは1.16台半ばで堅調、ポンドドルも一時下落後に反発するなど底堅く推移。クロス円はドル円の動向に連れ、昼過ぎの上昇から午後は報道を受けて上げ幅を縮小するなど不安定な動きとなった。

 ロンドン市場では、東京午後の「日銀12月利上げ、政府容認」報道が本格的に材料視され、円全面高の展開となった。ロンドン勢の参入とともに円買いが加速し、ドル円は一時154.55付近まで急落して本日安値を更新。これに連れ安となり、ユーロ円は180.40付近、ポンド円は206.36付近まで下値を広げた。ドル円の急落はドル全体への売り圧力にも波及し、ユーロドルは1.1682付近、ポンドドルは1.3364付近まで上昇した。独・英の建設業PMIは低迷したが市場の反応は薄く、円主導の相場展開が続いた後、NY市場の米指標待ちで動きは限定的となった。

 NY市場は、全体的に様子見ムードの中、ドル円は一時154.50付近まで下落したが、その後は155.00付近まで戻すも上値は重い。日銀の早期利上げ観測と政府容認報道が円買いを誘発する一方、来週のFOMC利下げ期待がドルの重石となっている。米新規失業保険申請件数は良好で一時ドル買い反応が見られたが、利下げ期待に変更はなく一時的だった。ユーロドルは米欧金融政策の格差を背景に1.16台後半で底堅く、ポンドも対ドルで高値水準を維持。ドル円は来週のイベントを控え、ロングポジションの調整が断続的に続いている。

(5日)
 東京市場は、円買いが優勢だった。ドル円は154.55円付近まで円高・ドル安推移した。前日の海外時間帯で今週の円高・ドル安の動きは一巡しているものの、今月の日銀の追加利上げ見通しもあってドル円の上値は重かった。関係筋の話として、日銀は12月利上げを実施したうえで、利上げ継続姿勢を維持する見通しであると報道されている。クロス円も円高の方向に振れ、ユーロ円は180.17円付近、ポンド円は206.24円付近まで下落した。豪ドル円やNZドル円も軟化したが、豪ドル/ドルやNZドル/ドルがしっかりと推移したことから下値は限られた。

 ロンドン市場では、円買いの動きが一服している。東京午後にかけては「日銀が12月利上げ実施へ、その後も利上げ継続姿勢を維持する見通し」との報道を受けて円買いが加速したが、ロンドン勢の参入後は利益確定を中心とした円売り戻しが優勢となった。ドル円は一時154.35付近まで下落した後、155.10台まで反発。クロス円も買い戻しが入り、ユーロ円は180.10付近から180.70台へ、ポンド円も206円前半から207円近くまで値を戻している。欧州株は買い先行で取引を開始しており、市場全体のセンチメントは落ち着きを取り戻している。この後のNY時間には、カナダ11月雇用統計、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、そして注目の米9月PCE価格指数が発表予定。

 NY市場ではロンドン市場午後のドル買い円売りが強まった。ミシガン大学消費者信頼感指数が予想を上回る伸びとなり、ドル買いにつながった。ドル円は155円49銭と今日の高値を更新した。その後は週末を前に少し調整が入り、NY午後は155円30銭前後でほぼ膠着となった。ユーロドルはドル高を受けて1.1660前後から1.1630割れまで売りが出る場面が見られた。その後1.1650近くまで戻すなど、一方向の動きにはならなかった。ユーロ円は朝方円安が優勢となり、ドル円の上昇もあって180円93銭まで上昇したが、その後対ドルでユーロが売られたことで180円60銭台まで売りが入った。ポンド円は207円30銭前後まで円売りが入り、ロンドン朝から1円強の上昇。その後206円80銭台を付けるなどやや不安定な動きを見せた。カナダの雇用統計は予想に反して失業率が大幅に改善。前月比減少見込みの雇用は大きく増加と力強さを見せ、1.3940前後から1.3833までの大きなドル安カナダ高となった。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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