【これからの見通し】東京市場は長期債動向に右往左往、この後の海外市場にも余波残るか
【これからの見通し】東京市場は長期債動向に右往左往、この後の海外市場にも余波残るか
東京市場ではドル円相場が激しく振幅している。植田日銀総裁発言がインフレ警戒を示し、予想外にタカ派的と捉えられて円高に動いた。しかし、午後には本邦債券発行額の減額観測が広がったことで長期債利回りが急低下、円安方向に変化している。ドル円は朝方の142円台後半から植田発言を受けて142円台前半へと下落。しかし、午後2時前後からは円安が強まり143円台半ば近くまで買われた。円安優勢のなかでクロス円も上昇。一方、ドル高の波及でユーロドルが軟化する動きもみられた。
長期債利回りの急変動は、市場の安定性に悪い影響を与える。債券売りが強まると、格下げ観測にもつながりかねない。当局も債券価格の低下(利回り上昇)を抑制する施策を模索することとなっているようだ。
この後の海外市場では、米債とともに欧州債の取引が活発化する。本邦債券利回りの低下の影響が、米国債や欧州債にも波及する可能性がある。その場合、ドル円やクロス円に揺り戻しが入る可能性がある。神経質な振幅に注意したい。
指標発表予定は、米耐久財受注(速報値)(4月)、米コンファレンスボード消費者信頼感指数(5月)などが注目される。耐久財受注は前月比-7.8%と前回の+7.5%からマイナスに転じる予想。一方、輸送機器除く前月比は-0.4%から0.0%へと落ち着いた動きが見込まれている。米コンファレンスボード消費者信頼感指数は87.1と前回の86.0からの上昇が見込まれている。
発言イベント関連では、日銀国際コンファランス「不確実な経済における金融政策の課題」にカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ハウザー豪中銀副総裁などが出席する。ビルロワドガロー仏中銀総裁は仏健全性監督破綻処理機構(ACPR)会議に出席する。バーキン・リッチモンド連銀総裁がブルームバーグTV出演する。ナーゲル独連銀総裁が欧州経済研究センター(ZEW)イベントでドイツ経済について講演する。シュレーゲル・スイス中銀総裁は世界経済と金融政策について講演する。米2年債入札(690億ドル)が実施される予定。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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