ドル円、142円台半ばでの推移=NY為替
NY時間の終盤に入ってドル円は142円台半ばでの推移となっている。リスク回避の雰囲気は一服しているものの、市場のドル安期待は根強く、本日のドル円も戻り売りに押されている。ただ、下値ではショートカバーも入るようで、140円割れを再度試そうという雰囲気まではない。
前日はトランプ政権の対中強硬姿勢の緩和観測などで、市場のムードが上がり、ドルの買い戻しが強まった。ただ、米国側は一方的に関税を引き下げることは検討しておらず、中国との協議と連動して行うとも見られている。協議自体が容易にハードルをクリアするとは思えず、市場はなおドルに対して慎重なようだ。
トランプ関税に伴う一連の騒動で米国離れ、ドル離れが指摘される中、円資産にも資金が流入しているようで、財務省が本日発表した対外・対内証券売買契約等の状況によると、月初からの海外勢の国内債券と株式の買越額は計9兆6400億円と、月間の買越額としては過去最高水準になったと見られている。
投機筋のみならず実需の円買いも期待される中、ドル円は依然として下値模索を継続している。日米のマネタリーべースの比較から為替レートを導き出す、いわゆるソロスチャートはここ数年、1ドル=115-120円の水準で推移している。海外勢からすれば、現在の円はまだ十分割安と見ている向きもいるのかもしれない。ベッセント財務長官は前日、日本との2国間協議で特定の「通貨目標」は念頭にないと発言していたが、一部のアナリストからは、本日あると見られている日米財務相協議では、120円がターゲットとなる可能性も指摘されていた。
FRBの利下げおよび日銀の利上げへの期待が盛り上がらず、ドル離れのキーワードだけでは、その水準の早期達成は難しいのかもしれない。しかし、ここに来て一部ではFRBの利下げ再開に対する期待も復活し出している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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