【これからの見通し】ドル売り強まるなかでユーロ高が突出、きょうはECBあすは米雇用統計
【これからの見通し】ドル売り強まるなかでユーロ高が突出、きょうはECBあすは米雇用統計
今週は為替相場が一気に動意づいている。特にドル安の流れが強まっており、そのなかではユーロ高が突出している状況。理由付けはいろいろとあるのだが、分かりやすい説明としては、一連の米経済指標が弱含んでいることが米利下げ観測を復活させてきていることが挙げられる。トランプ関税が市場を翻弄するなかで、市場の視線はインフレ警戒から米景気警戒に変化してきているとの声も出てきている。
ユーロ高の動きはドイツの厳格な財政規律の緩和が大きなきっかけとなっている。ウクライナ防衛について、欧州がより高い比重を担うことが求められており、ドイツも防衛費増額が計画されている。独国債増発との見方から独債券が売られ、利回りが急上昇している。また、財政規律が緩むことで景気刺激策が打ち出しやすいとの期待も広がっている。欧州株式市場は活況を呈している。
ドル安とユーロ高が広がるなかで、きょうはECB理事会が金融政策を発表する。市場では25bp利下げが完全に織り込まれており、その点では波乱は少ない。しかし、今後の会合でどこまで利下げが続くのか、もしくは一旦停止といったことがあるのか。市場では見方が分かれている。根強いインフレに対する見通し、トランプ関税の影響、そして防衛費増に伴う財政状況の変化など不透明な材料は多い。インフレに関しては今日発表されるECBスタッフ予測が参考となる。今後の利下げ方針については声明およびラガルド総裁会見の内容を精査することとなる。
あすにはドル相場に大きな影響を与える米雇用統計発表が控えている。昨日は米ADP雇用者数が7.7万人増と予想のほぼ半分にとどまり、ドル売り反応を広げていた。きょうはチャレンジャー人員削減数(2月)、非農業部門労働生産性指数(確報値)(2024年 第4四半期)、単位労働費用(2024年 第4四半期)、新規失業保険申請件数(02/23 - 03/01)などが雇用関連指標として発表される。その他には貿易収支(1月)、卸売在庫(確報値)(1月)なども発表される。
その他に経済指標発表は、スイス雇用統計(2月)、マレーシアBNM翌日物政策金利(3月)、スウェーデン消費者物価指数(CPI)(速報値)(2月)、南アフリカ経常収支(2024年 第4四半期)、英建設業PMI(購買担当者景気指数)(2月)、ユーロ圏小売売上高(1月)、トルコ中銀政策金利(3月)、カナダ国際商品貿易(1月)、カナダIvey購買部協会指数(2月)などが予定されている。
発言イベント関連では、このあとに中国人民銀行、中国証券監督管理委員会、中国国家発展改革委員会などが共同記者会見を開催する。連合25年春闘要求集計結果が発表される。ロンドン午後にはマン英中銀委員がNZ中銀インフレ会議で講演を行う。NY終盤にはウォラーFRB理事がWSJ記者ニック・ティミラオス氏と経済見通しについて対談する。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。