【来週の注目材料】米消費者物価指数さらなる鈍化へ、コアは横ばい続く見込み
【来週の注目材料】米消費者物価指数さらなる鈍化へ、コアは横ばい続く見込み
10日に9月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。前回8月の米CPIは前年比+2.5%と7月の+2.9%から大きく鈍化。3月の+3.5%から5カ月連続での伸び鈍化となりました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+3.2%と7月と同水準の伸びとなっています。なお、コア指数前年比については昨年3月の+5.6%から横ばいを交えながらも反発はなく、じりじりと落ちていく流れが続いています。前月比は+0.2%と市場予想通り、コア前月比は+0.3%と予想の+0.2%を上回りました。
前回のCPIの内訳を確認しましょう。まず目立つのがガソリンの低下。前年比-10.3%と大きく低下した影響で、エネルギー全体でも-4.0%となっており、総合指数の鈍化につながりました。ガソリンは前月比でも-0.6%と低下していますが、それ以上に昨年8月分が前月比+8.3%と上昇していた影響が大きいとみられます(比較元の数字が上昇することで、大きく鈍化したように見える)。
コア指数の項目で目立ったのが自動車価格の鈍化継続です。新車が前年比-1.2%と6カ月連続での前年比マイナス圏となりました。中古車に至っては-10.4%となり、マイナス圏は22カ月連続。さらに直近3カ月連続で前年比10%を超える低下となっています。自動車に関しては一時サプライチェーン問題などで供給が制約され、価格が上昇した分の反動が続いている状況と見られます。そのほか、衣料品の上昇、運輸サービスの上昇などが支えとなって、コア前月比は予想を上回りました。
今回の予想は前年比が+2.3%とさらなる鈍化見込み。6カ月連続の伸び鈍化となる見込みです。コアは+3.2%で横ばい見込みです。前月比は+0.1%、コア前月比は+0.2%と、ともに8月から小幅鈍化見込みです。8月から9月にかけて米国ではガソリン価格が低下。米エネルギー情報局(EIA)による全米全種平均は8月が1ガロン当たり3.507ドルなのに対して、9月は3.338ドルと前月比4.8%の低下となりました。昨年の8月から9月にかけてはほぼ横ばい(3.954ドル→3.958ドル)となっており、EIAベースでは前年比-11.3%から-15.7%となります。こうしたエネルギー価格の低下が全体を押し下げるとみられます。一方でコアが横ばいという予想ですが、こちらは前回大きく下げた自動車関連の押し上げが見込まれます。特に前回-10.4%と3カ月連続で10%超のマイナスとなった中古車ですが、昨年の8月から9月にかけて前月比-5.6%(季節調整前)と1963年1月以来の大きな下落率を記録。前年比はその下がった水準からの比較ですから、前月比で少しぐらいマイナスでも前回ほどの低下にはならないとみられ、コアを押し上げると期待されます。
予想前後であれば総合の鈍化を受けても大幅利下げ期待の押し上げにはなりにくいとみています。とはいえ、利下げを否定するような数字でもなく、0.25%利下げ期待を支える形となりそう。ドル円は若干の買い材料も影響は限定的と見ます。ただ、予想からの乖離があった場合は要注意。11月のFOMCまではかなり不安定な動きが見込まれます。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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