【これからの見通し】本日は植田日銀総裁会見に注目が集まる、週末のドル円相場はどうか
【これからの見通し】本日は植田日銀総裁会見に注目が集まる、週末のドル円相場はどうか
今週は米FOMCを中心に、英金融政策委員会発表など主要国の金融政策発表が相次いだ。そして、きょうは日銀決定会合で政策金利の据え置きが発表されている。今回の据え置きは市場の想定通りの決定で、発表直後にドル円は142円台後半に小幅上昇したあとは一時142円台割れまで下押しされる反応がみられた。その後は植田日銀総裁会見待ちで142円台前半での揉み合いが続いている。
日銀の声明文では個人消費についての表現が従来の「底堅く推移」から「緩やかな増加基調」へと上方修正された点が目を引く。本日朝方に発表された消費者物価指数は前年比+3.0%、生鮮食品除くコア前年比が+2.8%と前回からいずれも上昇。経済が見通し通りに進展すれば、徐々に金融緩和の度合いを調整していくとの植田総裁及び日銀の基本路線にとって前向きの内容となっていた。
一方で、前回7月末の決定会合の後、8月初頭には急激な円高とともに株式市場が歴史的な大幅安となった。内田日銀副総裁が火消し発言に奔走したしたことはまだ記憶に新しい。今回の日銀声明でも、「為替市場に十分な注意を払う必要、為替レートの動向が物価に影響及ぼす可能性が高まる」としており、金融市場の正常化には相場の安定が一つの条件として加わっている。
ここ2カ月ほどの短期間に、ドル円相場は円高方向へと急転回している。7月には162円手前まで高値を伸ばしたが、その後は円高基調が続いている。今週は139円台半ばまで円高が進行する場面があった。大幅な円高は輸入物価の抑制によって、インフレを鈍化させる効果がある。また、円高が急速に進むと輸出株主導で日本株が下落する。
植田日銀総裁会見では、物価上昇傾向、個人消費の回復が金融政策正常化にプラスに作用する点と、急速な円高が株式市場などを不安定化させるマイナス面との兼ね合いということになりそうだ。記者からの質問にどの程度の柔軟性をもって回答することができるのか。市場反応を横目にみながら、植田日銀総裁にとっては口頭試験を受けるような状況となりそうだ。植田総裁の会見は日本時間午後3時30分から始まる予定。
この後に発表される経済指標は、フランス企業景況感(9月)、トルコ消費者信頼感指数(9月)、香港経常収支(2024年 第2四半期)、香港消費者物価指数(CPI)(8月)、カナダ小売売上高(7月)、カナダ鉱工業製品価格(8月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)(9月)など。主要米経済指標の発表は予定されていない。
発言イベント関連では、ラガルドECB総裁がゲオルギエバIMF専務理事と対談、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁が連邦準備制度について講演を行う。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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