為替相場まとめ8月26日から8月30日の週
26日からの週は、ドル安の動きが一服した。ドル買いの動き前週末のパウエル発言を受けたドル売り反応が強かったこともあり、週明けにドルがもう一段下げたあとは、流れがドル買いに転じている。短期ポジションに調整が入る面とともに、月末特有のドル買いフローも加わったようだ。ドル円は143円台半ば割れまで下押しされたあとは、146円付近へと水準を戻す展開になっている。ユーロドルは1.12台に一瞬乗せたあとは、1.10台へと押し戻されている。ただ、調整一辺倒でもなく、市場は米ファンダメンタルズ材料にも敏感に反応した。木曜日には米GDP改定値が上方改定されたことにドル買いで反応する場面があった。ドル買いに調整が入ったほかには、ユーロ売り・ポンド買いの流れは健在だった。また、原油の下げ一服や米エヌビディア株の下落にも株式市場全般が底堅かったことなどでリスク動向に敏感な豪ドル、NZドル、カナダドルなどは比較的堅調だった。NZドルにとっては強い経済統計が買いを誘う場面もあった。週末の米PCEデフレータ(価格指数)は,ほぼ予想通り。ドル買い優勢で週の取引を終えた。
(26日)
東京市場は、ドル円が振幅。午前は先週末のパウエル議長の利下げの「時は来た」との発言を受けたドル売りに押された。加えて、ヒズボラによるイスラエルへの報復攻撃を受けた中東情勢緊迫化懸念や、株安の動きなど受けたリスク警戒の円買いもドル円の売りを誘った。安値を143.45近辺まで広げている。しかし、その後は反発の動きを強めて144.20台まで買い戻された。ユーロ円も161.50台から160.64近辺まで下落したあと、161円台を回復した。ユーロドルは午前のドル安局面で1.1202近辺まで買われ、わずかながら金曜日高値を上回った。その後は1.11台後半に押し戻された。ポンドドルは1.3180付近から1.3223近辺まで買われ、ユーロ以上に堅調だった。
ロンドン市場は、ドル売りに調整が入っている。ロンドン時間に入ると、リスク回避の円買いとドルの買い戻しの動きが交錯している。ドル円は東京市場で形成された144.34から143.45までのレンジ内で神経質に上下動。さらにこの時間帯には原油先物が76ドル台後半へと一段高となっている。リビア東部政府の原油の生産と輸出を停止と報じられたことが火に油を注いだ。原油高が今後のインフレ圧力を想起させる面もあり、先週末のドル売りに調整が入っている。原油先物の上昇をにらみながら、ユーロドルは1.12付近を高値に1.1160台へと反落。独Ifo景況感指数が予想を上回るも反応薄だった。ポンドドルも1.3220台を高値に1.3180台まで売り戻されている。欧州株はまちまち。英市場がバンクホリデーのため休場となるなかで、独DAX指数はマイナス圏、仏CAC指数はブラス圏で推移。米10年債利回りは3.79%付近と先週末からの低下は一服。
NY市場では、ドル円の買い戻しが優勢。先週のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演を受けて、為替市場はドル売りの反応を強め、ドル円は143円台に下落した。値ごろ感の買い戻しもあり、本日は144円台に戻した。ただ、上値では戻り待ちの売りも多く観測されている。先週のパウエル議長の講演と植田日銀総裁の国会での質疑応答を経て、ドル円の見通しの下方修正が相次いでいる。年末までに135円、2年以内に120円との予想も出ている。ユーロドルは一時1.12台に上昇していたものの、1.11台半ばまで伸び悩む展開。市場ではECBの9月利下げをほぼ確実視している。ポンドドルも上げが一服し、1.31台に下落した。 ただ、ポンドに対する強気な見方は多い。米大手銀のストラテジストは、ドル安傾向が続くと仮定すれば、ポンドを買うべきと推奨している。今年のポンドはG10通貨の中でベストパフォーマンスを記録している。FRBやECBと伴に英中銀も利下げモードに入ってはいるものの、相対的に緩やかな利下げになると見られている。
(27日)
東京市場では、ドル円が底堅く推移。朝方は株安警戒もあって少し売りが出たが144.24近辺までにとどまり、その後反発。144.90台まで買われた。月末前のポジション調整によるドル買い・円売りの観測がでていた。後場に入って日経平均もプラスに転じ、リスク警戒の動きも後退。午前の高値をわずかに更新する144.97近辺付けた。145円を付けきれなかったことで、利益確定の動きが見られ、144.50台まで売られる場面も、144.9前後へ切り返すなど、しっかりの展開。ユーロ円はドル円の堅調な動きもあり、朝の161.06近辺ら上昇し、161.88近辺まで上昇。ユーロドルは1.11台後半で推移した。
ロンドン市場は、ポンドが堅調。先週末のジャクソンホール会議でパウエル米FRB議長が9月利下げを明示したのに対し、ベイリー英中銀総裁は利下げに対する積極姿勢が示されなかったことが引き続きポンド買い圧力に。ポンドドルは1.31台後半から一時1.3247近辺まで買われ、年初来高値を更新。ECBも9月利下げが期待されており、対ユーロでもポンド買いが進行。ユーロドルは一時1.1179近辺まで買われたが、1.11台後半での揉み合いを脱してはいない。ポンド円は190円台後半から192円手前まで上昇。ユーロ円も一時162円台に乗せたが、その後は161円台後半に押し戻されている。欧州株は堅調に取引を開始したが、次第に上げ幅を縮小している。この日のスターマー英首相演説では、「10月の予算は痛みを伴う」「長期的な利益のために短期的な痛みを受け入れるよう、国民に大きなお願いをしなければならないだろう」としており、その後はポンド買いの勢いは一服している。ドル円相場は一時145.18近辺と高値を伸ばしたが、足元では144円台後半での揉み合いに落ち着いている。
NY市場では、ドル円が143円台に再び下落。この日はドル売りが優勢となる中、一旦145円台まで買い戻されていたドル円も上値を維持できなかった。午後の米2年債入札結果を受けて、政策金利に敏感な米2年債が低下したこともドル円の売りを誘った。先週のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演を受けて、ドル円は一旦143円台半ばまで下落していたが、やや行き過ぎとの見方もある中、ドル円は買戻しが膨らんでいた。しかし、7月中旬から形成されている下向きの流れも強く上値での抵抗感も根強い。ユーロドルはNY時間の午後になって買いが膨らみ、1.11台後半に戻す展開。専らドルの要因でユーロドルは動いているが、今週は29日にドイツ消費者物価指数(HICP)、30日にユーロ圏消費者物価指数(CPI)の速報値が発表となり、動向が注目される。ポンドドルは再び買いが優勢となり、1.32台を回復。ポンドは力強い値動きを継続している。
(28日)
東京市場では、ドル買いが進行。ドル円は朝方に143.69近辺まで下落も、その後は一転して買われている。144.54近辺に高値を伸ばした。寄り付きからマイナス圏となった日経平均がプラスに転じるなど、リスク警戒の動きが後退したことがドル買い円売りを誘った。氷見野副総裁は、当面は市場動向を高い緊張感をもって注視などの発言で、警戒感を示し、日銀の追加利上げ期待が後退したことも円売りに。また、ドルインデックスが上昇。ユーロドルは1.1180台から1.1130台へ軟化した。ポンドドルなどでもドル高が見られ、1.3260台から1.3217近辺まで下落した。豪ドル/ドルあ0.6813近辺から0.6782近辺まで軟化。豪州の月次消費者物価指数が予想を上回ったことによる豪ドル買いは限定的だった。ユーロ円は161円を挟んで上に往って来い。
ロンドン市場は、根強いドル買いの動き。ドル円は東京市場では143円台後半から144円台後半へと上昇。ロンドン序盤には一転して売られ、144円手前水準まで反落。しかし、ユーロドルなどでドル買い圧力が広がるなかで、再び144円台半ばへと上昇している。ユーロドルは1.11台後半から前半へと下落。ロンドン序盤には下げ一服となる場面があったが、足元では安値を1.1120付近へと広げている。ポンドドルもユーロドルに連れ安となり、1.32台後半から前半へと軟化。ドル指数は前日の低下を消す動きに。ユーロ円は161円台割れ、ポンド円は191円台割れへと下げており、円買いの面も。また、ユーロ自体も軟調で、対ポンドなどで売られている。ドイツ経済研究所(DIW)が8月の経済バロメータを引き下げており、特にドイツの生産面の弱さが指摘された。また、この日は原油先物が74ドル台へと反落している。側面からドル買い圧力となる面も。全般的には、米株式市場引け後に発表される米半導体大手エヌビディアの決算待ちとなっていた。
NY市場では、ドル買いが優勢。ドル円は一時145円台に上昇する場面があった。しかし、145円台に入るとオプション絡みの防戦売りも観測される中、上値を抑えられている。前日は143円台前半まで下落していたが、ドル円は激しい上下動が続いている。特に材料はなく、月末のフローに伴うドル買いと見られていたようだ。ユーロドルは戻り売りに押され、1.11台前半まで下落した。ポンドドルも売りが強まり、1.31台に下落したほか、対ユーロでの買いも一服した。月末接近ということで、ポンドロングのポジション整理が出ているものと思われる。ただ、ポンドに関しては強気な見方は根強い。英中銀はECBやFRBよりも慎重な利下げ実施が有力視されており、ポンドをサポートすると見られている。
(29日)
東京市場は、方向性が定まらない展開。ドル円は朝方に144.22近辺まで下落したが、午後には買いが優勢となり144.86近辺まで上昇。日経平均が午後に一時上げに転じたことなどが支えとなったが、明日の米7月PCE価格指数などの発表を控えて上げも持続せず。ユーロ円は午後に一時161.27近辺まで、ポンド円は一時191.36近辺まで上昇したあと、伸び悩んだ。ユーロドルはドル安の流れを受けて一時1.1140付近までじり高に。NZドルは堅調。8月のニュージーランド企業信頼感が2014年以来10年ぶりの高水準となった。NZ中銀が8月会合で利下げを決定したことを受け、今後1年間で景気が改善するという見通しが増加し好結果につながった。東京早朝の発表された米半導体大手エヌビディア決算は良好な結果だったが、市場では材料出尽くし感もあって同社株が下落、日経平均が売りで反応する場面があった。
ロンドン市場は、ユーロ売りが主導。日本時間午後5時発表のドイツ各州ごとの8月消費者物価指数が前月比、前年比ともに伸び鈍化を示したことに反応。ユーロドルは1.11台前半から1.10台後半に、ユーロ円は161円付近から160円割れ目前まで下落。対ポンドでもユーロが売られている。その後に発表された8月のユーロ圏景況感が改善したことでユーロ売りは一服しているが、反発力は鈍い。市場ではECBの9月利下げを完全に織り込み、10月利下げ観測もやや上昇している。ポンドはユーロに連れ安。ポンドドルは1.32台前半から1.31台後半へ、ポンド円は191円台前半から190円台前半まで軟化した。足元では下げ渋りとなっている。ユーロポンドは0.84の節目水準に接近し、約1カ月ぶりのポンド高水準となっている。対ユーロでのポンド買いは健在だ。一方、豪ドル、NZドル、カナダドルなどは堅調に推移している。決算後の米エヌビディア株の下落にもかかわらず、欧州株や米株先物・時間外取引が堅調なことがリスク動向に敏感な資源国通貨群を下支えしている。ドル円は144円台半ばから後半にかけての揉み合いと落ち着いた取引となっている。内閣府発表の月例経済報告では基調判断が15カ月ぶりに上昇修正されたが、ほとんど反応しなかった。
NY市場では、ドル円が一時145円台を回復。月末のドル買いフローが観測される中で、この日の米GDPが上方改定されたことをきっかけにストップを巻き込みながらドル買いが加速した。ただ、上値での戻り売り圧力も観測される中で145円台を維持できるか注目されたが、後半に144円台に戻している。上値が重くなっている印象。市場は明日のPCEデフレータの発表を待っており、それはFRBの利下げ観測をより強めると見られている。そのためドルはFRBの利下げ期待、ポジション調整、モメンタムからの圧力を受け続け、中期的には下げが継続するとの見方も出ていた。ユーロドルは1.10台に下落。本日は8月のドイツ消費者物価指数(HICP)の速報値が前月比で予想外のマイナスとなっていた。前年比でも2.0%の目標付近に低下しており、インフレの完全鈍化を示している。市場は9月のECB理事会での利下げを見込んでいるが、その見方を正当化する内容となった。ポンドドルも戻り売りが強まり、1.31台半ばまで一時下落。ただ、ポンドに強気な見方は根強く、下値を拾う動きも活発に出るようだ。英予算が財政的に中立であれば、ポンドのアウトパフォームが続く可能性があるとの指摘も出ている。
(30日)
東京市場では、円相場が振幅。午前は円買いが優勢。ドル円は仲値にかけた輸出の売りなどで前日NY終値水準の145円付近から144.66近辺まで下落した。しかし、日経平均の上げ幅拡大などで午後には下げが一服、144.90台へと下げ渋った。ユーロ円も160.19近辺まで下落したあとは、160円台半ばへと買い戻されている。ユーロドルは1.10台後半での揉み合いで、前日終値を挟んで13ポイントレンジにとどまっている。。日本時間今夜9時30分には7月の米個人消費支出(PCE)物価指数の発表を控え、模様眺めムードが広がっている。
ロンドン市場は、やや円安方向に傾いている。日本時間午後9時30分発表の米PCE価格指数(デフレータ)待ちとなるなかで様子見ムードが広がるなか、欧州株や米株先物・時間外取引が堅調に推移していることに反応したようだ。ドル円、クロス円ともに東京午前の円高の動きを解消している。ドル円は144円台後半から145円台に乗せている。ユーロ円は160円台前半から161円付近へ、ポンド円は190円台後半から191円台前半へと水準を上げている。ドルストレートはドル売り先行も足元では値を戻す動き。ユーロドルは1.10台後半から1.11手前水準で、ポンドドルは1.31台後半から1.32ちょうど付近で上に往って来い。この日はユーロ売り・ポンド買いの動きも一時的にとどまっている。8月ドイツ失業率は6.0%で変わらず、失業者数は予想を下回った。8月ユーロ圏消費者物価速報は前年比、コア前年比ともに前回からの伸び鈍化が示され、9月ECB理事会での利下げ観測を裏付けた。シュナーベルECB理事は、「政策緩和のペースは機械的であってはならない、データと分析に基づく必要」「政策そのものが減速要因となることを避けるため、より慎重になるべき」などと指摘した。
NY市場でドルはほぼ全面高。米PCE価格指数はほぼ予想通り。市場は弱い数字を警戒しており、安心感からドルが買われた。子の上昇はいったん調整が入ったが、その後米債利回り上昇を受けてドルが買われ、ドル円は146円20銭台を付けた。ユーロドルが1.1080台から1.1040台を付けるなどドルはほぼ全面高。ポンドドルは1.3180台から1.3110前後を付けている。クロス円はドル円の動きが大きかったことや米株高の流れを受けてしっかり。ユーロ円は161円60銭台を一時つけた。
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執筆者 : MINKABU PRESS
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