ドル円、145円台半ばまで一時上昇 ただ145円台は維持できず=NY為替概況
ドル円、145円台半ばまで一時上昇 ただ145円台は維持できず=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は145円台を一気に回復し、ストップを巻き込んで145円台半ばまで一時上昇した。月末のドル買いフローが観測される中で、この日の米GDPが上方改定されたことをきっかけにドル買いが加速した格好。ただ、ドル円は上値での戻り売り圧力も観測される中で145円台を維持できるか注目されたが、後半に144円台に戻している。やはり上値は重くなっているようだ。
市場は明日のPCEデフレータの発表を待っており、それはFRBの利下げ観測をより強めると見られている。そのためドルはFRBの利下げ期待、ポジション調整、モメンタムからの圧力を受け続け、中期的には下げが継続するとの見方も出ていた。
円は7月に続き、8月も上昇して終えそうな気配となっている。2カ月連続の上昇は昨年末以来。日銀と他の中央銀行との見通しが逆であることから、円はさらなる上昇も予想されている。FRBが来月から利下げを開始しようとしている一方で、日銀は追加利上げの方向にある。
そのような中で、ドル円はそのサイクルで140円を割り込むとの見方も出ている。円は長期間に渡って資金調達手段として利用されてきたが、安全通貨としての地位を再び確立しつつある兆候も出ているという。
ユーロドルは1.10ドル台に下落。本日は8月のドイツ消費者物価指数(HICP)の速報値が発表になっていたが、前月比で予想外のマイナスとなっていた。前年比でも2.0%の目標付近に低下しており、インフレの完全鈍化を示している。市場は9月のECB理事会での利下げを見込んでいるが、その見方を正当化する内容となった。
ユーロ圏の信頼感回復はパリ五輪のブームによるところが大きいとの指摘がエコノミストから出ている。ユーロ圏の企業や家計の景況感を示す指標は今月改善を示したが、その大半はパリ五輪関連のサービスが活況を呈したフランスでの大幅な上昇によるもので、ドイツとイタリアでは逆に景況感の悪化が記録されている。
これはユーロ圏全体の根本的な状況が改善していないことを意味し、第3四半期のユーロ圏全体の経済は依然として停滞していることを示唆しているという。
ポンドドルも戻り売りが強まり、1.31ドル台半ばまで一時下落。ただ、ポンドに強気な見方は根強く下値を拾う動きも活発に出るようだ。
英予算が財政的に中立であれば、ポンドのアウトパフォームが続く可能性があるとの指摘も出ている。英政府が財政中立の支出計画を提示し、英中銀が利下げに慎重姿勢を維持する場合、ポンドドルは上昇を続ける可能性があるという。
10月にリーブス財務相が提出する秋季予算案ではGDPの0.7%に相当する200億ポンド以上の増税が実施される可能性があるが、これは財政引き締めを意味しない可能性がある。なぜなら、財務相はその資金を、前保守党政権下での実質的な公共支出削減に対処するために使用するからだという。ポンドドルは短期的に1.3330ドルまで上昇する可能性があるとしている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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