ドル円、一時144円台半ばに下落 米雇用者数の年次改定値と議事録が9月利下げ期待を追認=NY為替概況
ドル円、一時144円台半ばに下落 米雇用者数の年次改定値と議事録が9月利下げ期待を追認=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが加速し、ドル円は一時144円台半ばまで下落する場面が見られた。金曜日のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演を前に、本日は米雇用者数の年次改定値とFOMC議事録が公表されていた。
米労働統計局(BLS)が3月までの1年間の米雇用者数の基準改定値(速報)を公表。エコノミストからは、今回は大幅な下方修正になるとの指摘も出ており、市場も注目していたが、81万8000人の下方修正となった。下方修正幅は2009年以来の大きさ。一部には100万人の下方修正を見込む声も出ていたが、そこまで大幅ではないが、下方修正幅は予想の中心よりは大きかった印象。これを受けてドル円は売りを加速させた。
午後に前回分のFOMC議事録が公表され、圧倒的多数が9月利下げが適切になりそうだと認識していたことが明らかとなった。また、一部からは7月利下げの論拠も示されたという。
どちらも市場の9月利下げ観測を追認する内容ではあったが、9月利下げについてはすでに完全に織り込まれており、サプライズはない。市場の関心はその後の利下げペースに移っているようだ。市場では9月以降毎回のFOMCでの利下げを織り込んでいる。半分程度の確率でどこかのFOMCでの大幅利下げも織り込んでいる状況。
やや行き過ぎとの声も出ているが、その意味では金曜日のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演で方向性を確認したい意向のようだ。終盤にドル円は145円台に戻している。
きょうもユーロドルは上値追いを続け、1.11ドル台後半まで一時上昇し、昨年7月以来の高値水準を更新。ユーロ買いというよりは専らドルの要因での上昇ではある。FRBはECBよりも大幅に金利を引き下げるという見方が広がる中、ユーロドルは買い戻しを強めている。昨年7月の高値1.1275ドル付近が目先の上値メドとして意識される。
ポンドドルは1.31ドル台まで一時上昇。昨年7月以来の高値水準となっており、上値追いが持続している。目先は昨年7月高値の1.3140ドル付近が上値メドとして意識される。
本日は7月の英公共部門ネット負債が発表になっていたが、銀行を除いた純負債は31億ポンドと予想を大きく上回っていた。英国の厳しい財政状況が示唆された格好だが、最近の財政に関する悪い流れを継続するものでもあり、エコノミストからは、リーブス新財務相が年後半の予算案で増税と借り入れの増加を行う可能性を示唆しているとの指摘も出ている。
インフレと賃金上昇が原因で税収も期待外れ。特に税収は今年に入ってからの雇用の伸びの弱さを反映している可能性が高い。そのため年後半の予算案は、増税で100億ポンド、借入金増加で70億ポンドが追加される可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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