ドル円は157円台まで戻す ただ、円キャリー取引の巻き戻しに警戒感も=NY為替概況
ドル円は157円台まで戻す ただ、円キャリー取引の巻き戻しに警戒感も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は157円台まで戻した。バイデン大統領が日曜日に大統領選からの撤退を表明したことが円買いの動きを強めたとの指摘も出ている。日本株が下落しており、リスク環境が悪化する中、これまでの円キャリー取引の巻き戻しが警戒されているようだ。
先週末に米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉報告によると、レバレッジ・ファンドが円の売り越しを3万8025枚減らし、2011年3月以来の縮小幅となっていた。ポジションは依然円に対して弱気だが、先週の円反発の動きと一致する。9月のFRBの利下げ観測が強まっていることや、トランプ前大統領が円安に批判的な発言をしたことも背景にありそうだ。
来週のFOMCに向けてFOMC委員は発言を控えるブラックアウト期間に入っているが、市場はFRBが9月FOMCで利下げに踏み切る可能性を90%超織り込んでいる。来週のFOMCで、9月利下げの可能性を示唆してくるかは未知数だが、可能性を閉ざすことはないと考えられているようだ。
また、来週は日銀も決定会合が控えている。国債購入の更なる縮小、いわゆるテーパリングの具体策が打ち出されると見られているが、同時に利上げの可能性も一部から根強く出ている。それについて日銀が決定会合までに何らかの観測気球を上げてくる可能性も留意される。
ただ、全体的に為替市場は様子見の雰囲気が広がり、ユーロドルは1.08ドル台後半での狭い範囲での上下動が続いた。1.09ドル台には慎重になっているものの、下押す動きも見られていない。先週のECB理事会では9月の利下げにコミットすることは無かったものの、市場は75%程度の確率で9月利下げを織り込む動きとなっている。
独連銀はこの日公表した月例報告で、製造業の低迷から第2四半期のドイツ経済は小幅な成長に留まるとの見通しを示した。5月に発表された公式データから、製造業が経済活動全体を押し上げるとの期待は薄れたとしている。高水準の資金調達コストが引き続き、企業の設備投資と製品需要を押し下げ、建設部門を阻害しているという。建設部門は第1四半期の比較的穏やかな天候の後、第2四半期には縮小する可能性が高いという。しかし、サービス業の好転は続いているとしている。
ポンドドルも1.29ドル台前半での上下動に終始。英中銀の8月利下げへの期待が後退していることや、米インフレ指標がインフレ進展を示しドル安が進行し、ポンドドルは上向きの流れを持続している。しかし、この強さは長続きしない可能性も指摘されている。
年内の英中銀の利下げの可能性を2回で予想しているが、場合によっては3回の可能性も見ており、英データがそれを正当化すれば、ポンドは下落すると考えているという。また、8月1日の英中銀金融政策委員会(MPC)は英総選挙後初めて、英中銀の本音を聞く大きな機会となるとも述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。