ドル円は161円台でしっかりとした推移 パウエル発言への反応は一時的=NY為替概況
ドル円は161円台でしっかりとした推移 パウエル発言への反応は一時的=NY為替概況
きょうの為替市場、ドル円は伸び悩む場面も見られたものの、161円台でのしっかりとした推移を維持した。根強い円安の動きがドル円を支えている。本日はパウエルFRB議長がECB主催のフォーラムに出席し、「物価はディスインフレ傾向の再開を示すようになった」と述べたことで一時ドル売りが強まり、ドル円も161円台前半に値を落とした。ただ、売りが一巡すると買い戻されている。
議長は「インフレが2%まで下がることを確信したい。最近のようなデータをもっと見たい」とも述べており、利下げに慎重姿勢も示していた。
短期的には買われ過ぎの水準に来ており、財務省による介入警戒感も高まっているものの、実弾介入まではまだ余地があるとの見方が多い。163円や165円といった水準が介入ポイントとして意識されるといった見方や、水準よりもスピードといった声も出ている。
週末の米雇用統計の結果を受けての反応を見極めたい雰囲気も強い。今回の米雇用統計はインフレ鈍化への期待は裏付けるとの見方もある一方、それは米景気減速の兆候も示すことから、市場全体がどう反応するか確認したいところではある。
ユーロドルは1.07ドル台での様子見の雰囲気が広がっている。本日はECBがポルトガルのシントラで毎年恒例のフォーラムを開催し、ラガルドECB総裁が講演を行っていたが「サービスインフレが2%になる必要はない。財が2%を下回っているからだ。結局は財とサービスのバランスになる」と語っていた。
ただ、ユーロ圏のサービスインフレがECBに一服感を与えることは無さそうだ。前日発表の6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)でサービスインフレは4.1%と予想を上回っていた。国内景気の影響を最も受けやすいサービス部門のインフレが今年も高水準を維持していることは、ECBが追加利下げ慎重であるべき根拠を強めている。今後2週間以内にデータに大きなサプライズがない限り、ECBが18日の理事会で追加利下げをすることはないと市場では見られる。
ポンドドルは買い戻しが出て、1.26ドル台後半に戻している。ロンドン時間の早朝には1.26ドル台前半に下落し、100日線を下回っていたが、その水準は維持されている。
本日の東京時間の早朝に英小売協会(BRC)が6月の店頭価格指数を発表していた。前年比0.2%上昇と予想以上に鈍化し、32カ月ぶりの低水準となっていた。英国のディスインフレの基調は8月の英中銀の利下げを支持し、ポンドをさらに軟化させる可能性があるとの指摘も出ている。
短期金融市場では8月の利下げを約50%の確率で織り込んでいる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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