ドル円は一時150円を割り込む パウエル証言前にリスク回避の雰囲気も=NY為替概況
ドル円は一時150円を割り込む パウエル証言前にリスク回避の雰囲気も=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って売りが強まり、一時150円を割り込んだ。この日発表のISM非製造業景気指数が予想を下回ったことをきっかけに米国債利回りが下げ幅を拡大し、ドル円は一時149.70円付近まで下落した。
しかし、149円台に入ると買い戻しも見られ、一旦150円台に戻していたが、米株式市場でダウ平均が一時500ドル超下落するなど、リスク回避の雰囲気が強まった中で、円高も見られ、再び149円台に値を落としていた。
明日のパウエルFRB議長の議会証言を前に調整の動きが一気に強まった印象もある。議長は利下げは急がない姿勢を強調すると見られているが、それに対する市場の反応が警戒されたのかもしれない。
2月のISM非製造業景気指数は52.6と前回低下し、予想も下回った。新規受注は前回から上昇したものの、雇用指数が低下し、基準の50を下回っている。仕入価格も大幅に低下し、インフレの落ち着きを期待させる中身となった。
ユーロドルは一時1.0875ドル付近まで上昇する場面が見られた。ただ、明日のパウエルFRB議長の議会証言を控える中で、1.09ドルを試そうという動きまでは見られていない。依然として上値には慎重なようだ。
そのような中でユーロドルの上昇は利食いのチャンスとの見方が出ている。ユーロドルは1.0800-1.0850ドルのレンジ上限で今週をスタートしたが、米経済がユーロ圏をアウトパフォームし続ける中、ユーロ高は利益確定売りのチャンスとなる可能性があるという。強い米経済指標の継続的なトレンドが続く中では戦略的な売りの機会をうかがうべきだとしている。
ポンドドルは買いが膨らんでおり、1.27ドル台に上昇。1.27ドル台はこれまで強い上値レジスタンスとして機能していたことから、この水準を維持できるか注目される。
明日はハント財務相が英春季予算案を議会に提出する。一部報道では国民保険料負担の2ポイント引き下げを発表するとも伝わっていた。実際どうなるかは未知数だが、予想以上の財政刺激策が実施されれば、英中銀の仕事を複雑にし、利下げ時期を遅らせ、ポンドが上昇する可能性があるとの指摘も出ている。
エコノミストが予想する150億ポンドの財政緩和を小幅に上回れば、利回りが上昇し、利下げがさらに先送りされることで、結果的にポンド高を誘発する可能性があるという。2022年秋のトラス政権のミニ予算では、財源不足の減税案が利回りの急騰を招いたが、現在のポンドは財政政策や政治から比較的保護されているように見えるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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