ドル円、142円台半ばでの小動きに終始=NY為替概況
ドル円、142円台半ばでの小動きに終始=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は欧州勢がクリスマス休暇中で休みの中、142円台半ばでの小動きに終始した。NY市場はクリスマス明けで来年に向けての相場スタートとなる。エコノミストからは来年は各国でインフレが正常な水準に戻るとの見方が少なくない。2024年末までには大半の主要国でインフレは目標値かそれに近い水準に達しているはずだという。インフレ低下は家計の購買力を高め、中銀の利下げを可能にすることから、成長をサポートするというのが楽観的なソフトランディングのシナリオだ。
すでに市場はそれを先取りし、FRBは来年3月に利下げを開始し、0.25%ずつなら5回以上の利下げを織り込んでいる。中には利下げ開始はもう少し後ずれするものの、大幅利下げがあるとの見方も出ている模様。一方、日銀は逆に利上げが期待されている。ただ、マイナス金利を解除するのが精々で、0.50%、1.00%と引き上げることは難しいと見られているようだ。来年前半にマイナス金利を解除した後はしばらく様子を見ると予想されている模様。
年前半はドル売りが優勢となり、ドル円も下押し圧力が強まるものの、後半にかけてはドル買いが復活し、日銀の利上げ期待も後退することからドル円は上向きに反転するとのシナリオも出ているようだ。
ユーロドルは堅調な動きを続け、1.10ドル台半ばに上昇。ユーロドルはこのままいけば、まずまず平穏無事に今年を終えそうだが、2024年はさらに上昇の可能性があるとの強気な見方も出ている。市場はECBもFRBも来年は同程度の利下げを決定すると見ているが、ユーロ圏のインフレを考慮した実質の政策金利は米国と比べて遥かに景気抑制的ではないという。それは市場の期待ほどECBが大幅に政策金利を引き下げる能力を制限し、ユーロ上昇の流れは維持されるという。
市場はECBが早ければ3月にも利下げに踏み切る60%の確率で織り込んでいるが、「新たなマクロ経済予測を待って決定を行う」とラガルド総裁が発言したことを考えると、市場の期待は時期尚早に思われる。3月理事会の想定が見直されることになれば、ユーロドルは1-3月期(第1四半期)に1.11ドル前後まで上昇すると見ているようだ。
ポンドドルはロンドン勢がクリスマス休暇で休みの中、動意薄の展開となったが、ドルが軟調に推移していることで1.27ドル台で推移した。しかし、対ユーロでは下落が続くなど、ポンドは12月中旬以降軟調な動きが続いている。
主要中銀の中で英中銀は最もタカ派姿勢を固辞していると思われる。先日の英中銀金融政策委員会(MPC)では9名の委員のうち3名が利上げを主張していた。しかし、その後に発表になった英消費者物価指数(CPI)やGDPの結果を受けて、タカ派委員も若干はスタンスを軟化させる動きも出ている。先週、利上げを主張したハスケル委員は先日の英CPIを受けて、宿泊費などの不規則な要因を除いたサービスインフレの鈍化はニュースに値し、物価上昇基調をよりよく示していると述べていた。
短期金融市場では、英中銀は24年末までに5回以上の利下げを行うというシナリオを織り込んでいる。それに対する懐疑的な見方も少なくないが、もし、今後の英経済指標を受けて、そのシナリオがに拍車がかかるようであれば、来年のポンドはより厳しいスタートを切ることになる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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