ドル円は買い戻しが膨らむ 議事録は予想通りに市場の見方よりもタカ派な内容=NY為替概況
ドル円は買い戻しが膨らむ 議事録は予想通りに市場の見方よりもタカ派な内容=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は買い戻しが膨らんだ。東京時間には一時147円台前半まで下落する場面も見られていたが、NY時間に入って148円台に戻し、1日を通して下に往って来いの展開が見られた。
特段ドルの買い戻しを誘発する材料は見当たらないが、この日のFOMC議事録が、予想通りではあったものの、市場の見方よりはタカ派な内容であったこともドル買い戻しを誘発した可能性もありそうだ。ただ、事前の予想通りではあった。ドルは議事録発表前から買い戻しが強まっていた。
基本的な状況に変化はなく感謝祭ウィークのムードの中で、ドル円はこれまでのロングポジションの解消が続いているようだ。目先は146円台半ばに100日線が来ており、その下の146円台前半にはフィボナッチ38.2%戻しの水準が来ている。それらを視野に入れそうな気配は続いている。ファンド勢がオプション市場でドル円のコール(買う権利)を解消している一方、プット(売る権利)を購入しているとの観測も流れていた。
FOMC議事録だが、全員が金利について慎重に進めることで合意した一方、金利は当面制限的と判断していたことが明らかとなった。インフレの進展が不十分な場合は、追加引き締めを検討するとも述べている。予想通りに追加利上げの可能性を残すタカ派な内容ではあった。
前回のFOMCは、今月の米雇用統計やインフレ指標発表前の会合でそれらを考慮していない。FOMC後も委員からは追加利上げに含みを残す発言が続いているが、それでも市場は利上げサイクル終了と来年の利下げ開始を織り込んでいる。今回の議事録はそれを変えるほどのインパクトは無かったようだ。
ユーロドルは上げを一服。ユーロドルは11月に入って、10月からのリバウンド相場を加速させ、一時1.09ドル台半ばまで買い戻されている。さすがに過熱感も出ているようで、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは買われ過ぎの水準である70に接近。1.10ドルを目前にやや上値に慎重になっているようだ。
きょうはラガルドECB総裁の講演が伝わっていたが、「ECBは時期尚早に結論を急ぐべきではない」との認識を示していた。「目標未達のリスクが高まれば行動できる」とも述べていた。追加利上げに可能性を残す内容ではあったが、市場はECBの利上げサイクルはすでに終了との見方を固めており、次の行動は利下げとの見方を強めている。日銀を除く主要中銀の中では、最も早く利下げを実施との見方も根強いようだ。
ポンドドルはリバウンド相場を継続し、一時1.25ドル台半ばまで上昇。きょうの上げで100日線を上回っており、リバウンド相場を更に加速させるか注目される。目先はフィボナッチ半値戻しの水準が1.2585ドル付近に来ており意識される。
スナク英首相が前日に、インフレ半減目標を達成したことで減税に着手することが可能だと表明し、ハント財務相が明日発表する秋季予算案に何らかの減税策が盛り込まれると見られている。ただ、この日発表の10月の英公共部門借入額は149億ドルと予想を上回っていたが、与党保守党は来年の選挙に向けて有権者に減税を提案することを熱望しており、年初来の借り入れも英予算責任局の予測を下回っていることから、本日の数字が提案の障害になるとは考えにくいと見られて。しかし、魔法の金のなる木 がない以上、その減税策はかなり制約を受けると見られている。
*英公的部門純借入額(除銀行)16:00
結果 149億ポンド
予想 128億ポンド 前回 146億ポンド(143億ポンドから修正)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。