ドル買い戻しが加速し、ドル円は140円台を回復=NY為替概況
ドル買い戻しが加速し、ドル円は140円台を回復=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが加速し、ドル円は140円台を回復した。一時140円台半ばまで上昇。140円付近には売りオーダーも多数観測されていたが、ストップを巻き込んで一気に駆け上がっている。その動きでドルの買い戻しに弾みが付いた面もあったようだ。140円台を維持できるようであれば、141円台前半までの戻りも期待できそうな気配もあり、明日以降の動きが注目される。
この日発表の米新規失業保険申請件数が強い米労働市場を示唆したこともきっかけとなった模様。来週のFOMCやECB、日銀決定会合のイベントを前にドルショートを解消しておきたいムードも強まっていた模様。
FRBは来週のFOMCでの利上げが確実視されている。ただ、9月以降については未知数の部分が多く、追加利上げ、据え置き、どちらにも可能性をオープンにして置くのではと見られている。一方、これまでタカ派色が強かったECBもタカ派トーンを若干緩めており、来週は利上げを実施するものの、9月についてはFRB同様にオープンにして置く可能性も指摘されている。日銀も植田総裁が慎重姿勢を垣間見せていた。
このような中で、短期的にドルショートを維持して置くことが得策ではないとの判断が働き始めているのかもしれない。世界的に昨年からの利上げツアーに終着点が見え始める中で、市場の関心がこれまでの金融政策格差から景気に軸足をシフトするようになれば、ドルの優位性は増すとの見方も市場では根強い。
ユーロドルは1.11ドル台前半まで下落。一部からは、ユーロは過大評価されており、短期的なフェアバリューに修正されるにつれて、弱含みとなる可能性があるとの見方が出ている。短期のフェアバリューモデルによると、ユーロドルは依然として2.5%程度の割高感があるという。
また、ECB理事が来週の理事会でこれまでのタカ派トーンを和らげるとの報道も流れていたが、ECB理事の間でインフレに対する懸念が若干和らいでいる可能性も示唆されていた。
本日の21日線は1.10ドル台前半に来ており、まだまだ距離があるが、目先は1.11ドルをブレイクするか注目される。
きょうもポンドドルは戻り売りを加速させ、一時1.2840ドル付近まで下落。本日の21日線が1.2830ドル付近に来ているが、その水準をうかがう動きが出ている。前日は英消費者物価指数(CPI)が発表され、総合、コア指数とも予想を下回り、インフレ鈍化の兆候が示された。
ただ、英中銀が注視しているサービスインフレは依然として高水準が続いており、市場も8月3日の金融政策委員会(MPC)での0.50%ポイントの大幅利上げの可能性は温存している。短期金融市場では0.25%ポイントの利上げは確実視しており、0.50%の大幅利上げについては50%弱の確率で見ている状況。
そのような中、これまで政策金利が7.00%に達するかもしれないと警告していた2名のタカ派エコノミストも見通しを後退させている。しかし、まだ少なくとも6.00%以上の利上げは必要との認識は示している。一方、景気の行方を考慮すれば、英中銀の利上げに対する市場の認識は行き過ぎと見るエコノミストも少なくない。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。