FOMCへの反応はドル買い 予想外にあと2回の利上げを示唆=NY為替概況
FOMCへの反応はドル買い 予想外にあと2回の利上げを示唆=NY為替概況
きょうのNY為替市場、午後のFOMCを受けてドル買いが強まった。ドル円は一時140円台を回復。FRBは市場の予想通りに利上げを一時停止したものの、注目のFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)であと2回の利上げを示唆した。市場ではあと1回と見られていただけにサプライズとなった。
短期金融市場では年内の利下げの可能性が完全に後退し、7月の追加利上げの可能性を高めている。確率は70%に上昇。ただし、2回目の追加利上げについて市場は、まだ可能性は低いと捉えている。FRBは声明で追加利上げは指標次第と言及しており、2回目の追加利上げについては、この先の指標を確認したい意向のようだ。
ドル円は一時140円台を回復したものの、139円台に戻している。その後のパウエルFRB議長の会見で「休止は利上げペースを緩やかにすることの継続。ゴールに近づくにつれ、利上げは控えめにするのが筋」などと、比較的タカ派なトーンが控え目になっていた点がドル円の上値を抑えた模様。また、米株式市場でダウ平均が急速に下落し、円高の動きが出たことも圧迫した。
ユーロドルはFOMCを受けて戻り売りに押されたものの、1.08ドル台は維持。100日線が1.0805ドル付近に来ており、その水準を突破する動きが出ている。
明日のECB理事会を受けての反応待ちだが、重要イベントの通過後のユーロドルは下落の可能性があるとの指摘も出ている。FRBは本日のFOMCで金利を据え置く可能性が高いが、追加利上げに関する市場価格を支持するはずだという。一方、ECBは大方の予想通りに0.25%ポイントの利上げを行うと見られるが、直近のインフレと成長のデータが軟調に推移していることから、タカ派なメッセージを伝えることに苦慮する可能性があるとしている。
重要イベント通過後のユーロドルは短期的に1.08ドルよりも1.07ドルに近い位置で取引されることになるという。
ポンドドルも伸び悩んだものの、1.26ドル台に上昇。本日の上げで一時年初来高値を更新し、3月以降の上昇トレンドに復帰している。前日発表の英雇用統計が予想外に強かったことから、市場では英中銀の利上げ継続期待が高まっている。短期金融市場では来年にかけて6.00%までの利上げの可能性を織り込む動きも出始めているようだ。
一方、英中銀による追加利上げの見通しが景気後退懸念を強め、ポンドは下落の可能性があるとの指摘も出ている。英経済の基本的なファンダメンタルズには、弱い成長、高インフレ、高債務、低投資成長、低生産性、経常赤字という特徴が残っている。その中での金利上昇は必然的に債務の苦境を増大させるリスクを高める。
もし市場が、インフレを2%目標に戻すために景気を後退させる必要があると英中銀が判断し始めれば、ポンドは金利上昇の環境下にもかかわらず、軟化し始めるかもしれないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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