為替相場まとめ12月26日から12月30日の週
26日からの週は、年末相場となるなかで方向性がはっきりしなかった。ドル円は日銀決定会合後の急落からの買い戻しがみられて134円台半ばまで上昇も、週後半には131円台へと売り戻された。ユーロドルは1.06台を中心とした上下動に終始。ポンドドルは1.20台割れでは買われ、1.21台乗せでは売られている。クリスマス休暇から年末相場の時期とあって、目立った経済統計や金融当局者の発言はみられず材料難だった。米債利回り動向や株式動向をにらみながらの神経質な相場が続いた。ドル指数はクリスマスまでの低下傾向は一服しているが、反発の動きも乏しかった。来年の相場を控えて、市場参加者は一休みといった一週間だった。
(26日)
東京市場は、ドル円が振幅。この日はクリスマスの振り替え休日で、日本や中国などごく一部を除いて休場となっている。アジア時間でも香港、シンガポール、豪州、NZなどが休場となっており、取引参加者はかなり少ない。また欧州、米国の市場も休場で、夕方以降取引が極端になくなると見込まれている。こうした中、ドル円は午前中に売りが入ると132.32近辺まで下落した。その後は買い戻されて132.60台をつけた。ユーロ円も141円台割れから130.30台まで下落したあと、140.90台まで戻した。ユーロドルは1.06台前半での推移が続いた。
ロンドン・NY市場はクリスマス関連の祝日で休場。
(27日)
東京市場は、ドル円が堅調。仲値にかけてドル手当ての注文が持ち込まれ、132.60台から133.17近辺まで上昇。その後は133円台割れから再び133.10台と売買が交錯した。午後は133円台割れ水準での推移が続いた。ユーロ円はドル円とともに141.10台から141.70付近まで上昇したあとは、141円台半ばで推移した。ユーロドルは朝方の1.0630近辺から1.0660近辺まで買われたあと、はレンジ相場を形成している。ドル円を中心に年末特有のフロー主導相場だった。
ロンドン市場は、円売りが優勢。中国株の上昇に続いて、取引が再開した欧州大陸株が堅調に推移しており、リスク選好の動きが広がっている。背景には、中国が入国の際のコロナ検査を緩和したことや、来年初頭から中国本土の居住者の海外旅行ビサ再開などが経済再生への期待を広げていることがある。ドル円は132円台から133円台に乗せると、前日の高値を上回り133.37近辺に高値を更新。クロス円も総じて堅調で、ユーロ円は142円台乗せ、ポンド円は161円台手前へと上昇。米10年債利回りが3.77%台へと上昇。ドル相場はドル買い圧力を受けつつも、リスク選好のドル売りが交錯している。ユーロドルはドル売りが勝って1.06台後半へ上昇も、ポンドドルは1.21台では上値が重くなり1.20台半ばへと押し戻されている。ユーロ買い・ポンド売りのフローも入っていた。
NY市場は、ややドル買いの動き。ドル円は133円台半ばまで上昇。中国政府が厳格なゼロコロナ政策を転換し、1月初旬に海外からの入国者の検疫要件を解除すると発表したことから、市場にはリスク選好の雰囲気が広がっている。ただ、ドルは年末年始で動きが鈍く、狭いレンジ内での取引に留まっている状況。米株式市場も買い先行で始まる中、リスク選好の円安が復活しており、ドル円、クロス円とも底堅い動きをしている。また、米寒波は大きな打撃を与えないとの見方もでていた。ユーロドルは1.06台前半から半ばでの推移。クリスマス休暇前の水準を踏襲している。リバウンド相場の流れには変化はみられていない。ポンドドルはロンドン市場で軟化したあと、1.20台前半で上値重く揉み合った。デギンドスECB副総裁は、「ユーロ圏は非常に困難な経済状況に直面しており、個人と企業が試されることになるだろう」と述べていた。
(28日)
東京市場は、ドル円が堅調。午前の取引で133円台前半から134.40付近まで買われた。1円超のドル高円安となった。日銀金融政策決定会合後の円買いに対して調整の動きが広がっていること、受渡日が年内最終日となることで外貨買い需要が広がったことなどが支えとなった。日銀の主な意見では、先日のイールドカーブコントロール(YCC)の調整は緩和解除や出口戦略ではないとの意見が複数の委員から出ていたことが明らかになったこともドル円の買い戻しをサポート。高値を付けた後は調整が入り134円ちょうど前後での推移。ユーロ円は142円台割れ水準から143円手前まで上昇した後、少し下げての揉み合いに。ユーロドルは1.06台前半で落ち着いた値動きだった。
ロンドン市場は、年末相場で方向感に欠ける展開。この日は英株式市場が連休明けで堅調に再開している。ただ、前日の米ナスダック指数の下落もあって独仏株式市場はやや売りに押されている。米株先物は反発の動きも、値幅は限定的。この日は主要な英欧経済統計発表や金融当局者の講演イベント予定はみられていない。豪ドルが堅調に推移しており、中国の経済再開の動きが好感されているもよう。ただ、ドル円、ユーロドル、ポンドドルなど主要通貨ペアは方向性に乏しい振幅となっている。米債利回りはやや低下しているが、ドル指数は前日比小幅高水準での揉み合いが続いている。ドル円は134円を挟んだ振幅。ユーロドルは1.06台前半から半ばでの取引。ポンドドルは1.20台前半から後半へと上昇。ユーロポンドは売りに押されているが、目立った材料は出ていない。
NY市場では、ドル買いが優勢。ドル円は朝方に133.50付近まで下落したあと、米債利回りが上昇に転じたことや、米株式市場が不安定な動きとなるなか、リスク回避のドル買いで134円台半ばへと再び買われた。市場では中国のゼロコロナ政策の終了が逆に、世界中での感染増加につながるのではとの警戒感が広がっている。欧州や米国で中国からの渡航者に対する検査を厳しくする措置が発表されていた。ユーロドルは1.06台前半へと伸び悩んだ。朝方には1.0675近辺まで上昇していたが、1.06台前半へと押し戻された。ポンドドルは一時1.21台まで回復していたものの滞空時間は短く、1.20台前半まで押し戻された。典型的な上値の重い値動きが続いている状況だった。
(29日)
東京市場は、円買いが優勢。日経平均の下落を背景としたリスク回避の円買いや、米10年債利回りの低下を受けたドル売り・円買いの動きがみられた。ドル円は序盤から円高方向に振れ、昼頃には133円台半ばと前日終値から1円近く下げた。午後には米10年債利回りの低下が一服したことで、133円台後半に戻したが、終盤には再び売られて133.47近辺に安値を広げた。クロス円も総じて円高傾向となり、ユーロ円は142円台割れから141.85近辺まで下落。年末年始を控えて市場参加者が少なくなるなか、ユーロドルは様子見ムードが広がっており、1.06台前半で小動きとなった。
ロンドン市場は、調整主導で方向感が見えにくい展開。ドル円はロンドン時間に入ると133.90近辺まで反発し、その後は揉み合いが続いている。米10年債利回りが3.83%台から3.87%台で下に往って来いとなっており、方向性を見せないことがドル相場にも反映されている。ユーロドルはやや買いが優勢。1.0610付近から1.0658近辺まで一時上昇、その後は1.06台前半に落ち着いている。ECB経済報告が公表されており、直近理事会での75bp利上げについて説明された。インフレ率が高過ぎるとの認識で、今後の利上げ継続姿勢が示されていた。ポンドドルは1.2010付近から1.2060付近での振幅。対ユーロではやや売りに押された。欧州株や米株先物は落ち着いた取引が続いており、ユーロ円は142円台割れから142円台前半へと買戻しが入る一方、ポンドドルは160円台後半でので底這い状態が続いている。総じて、年末相場のムードが広がり積極的な売買は行われていない印象。
NY市場では、ドル売りが優勢。米新規失業保険申請件数が前回から増加したことをきっかけにドル売りの反応が強まった。米株式市場で買い戻しが膨らんでおり、リスク回避のドル買いが一服したこともドル売りに。ドル円は133円台後半から一時132円台まで下落。週前半の上昇を戻している。年末で市場参加者が少ない中、流動性が低下しており、荒い値動となっている。ユーロドルは買い優勢だが、1.07台には届かず1.06台での上下動に変化はみられず。ポンドドルも買い優勢で1.2080付近まで買われる場面があった。ただ、上値追いまでには至らず、200日線が位置する1.2050付近に落ち着いた。米株式市場は堅調な動きをみせた、クロス円は上値重く推移。ユーロ円は141円台後半、ポンド円は160円台前半へと軟化した。
(30日)
東京市場は、円買いが優勢。ドル円は朝方の133.00付近での揉み合いを下放れると仲値公示に向けて132.39近辺まで安値を広げた。その後は下げ一服も戻りは132.70台までにとどまっている。ユーロ円も141円台後半から141円台前半へと下落。いったん141.50付近まで反発も、午後には141円割れを試す動きとなっている。ユーロドルは1.0650-60での揉み合いが続いたあと、足元ではやや売られて1.0640台で推移している。年末で仲値関連の円買いが入ったもよう。中国のコロナ感染拡大を警戒する面も指摘される。
ロンドン市場は、円高の動きが広がっている。特段の新規材料はでていないが、ドル円は28日NY市場につけた134.50近辺を戻り高値として再び下押しの流れに入っている。ロンドン朝方に132.50付近を下抜けると一時131.55近辺まで安値を広げた。その後は132円台を回復する場面もあったが、再び131円台後半へ押し戻されている。クロス円も円高の流れ。ユーロ円は一時140.50割れ、ポンド円は158.50割れまで下押しされた。足元では下げ渋りも東京市場の水準には戻しきれていない。ドル相場はややドル売りの動きが波及している。ユーロドルは引き続き1.06台での推移だが、1.0640付近から1.0680付近へと買われている。ポンドドルは1.20台での振幅で方向性に乏しい。ユーロ対ポンドでは振幅もややユーロ買いの動きとなっている。米10年債利回りは3.82%付近から3.85%付近へと上昇。欧州株や米株先物は上値重く推移している。全般にテーマ性に欠ける値動きで、年末を控えたポジション調整に終始している。
NY市場でドル円は昼過ぎから急速に売りが強まり、130円台に下落する場面が見られた。日本経済新聞が日銀が1月に示す消費者物価指数(生鮮食品を除く=コア)の前年度比上昇率の見通しを前回(10月時点)から上方修正する検討に入ったと伝えたことに敏感に反応した模様。2022年度(2.9%)、23年度(1.6%)の見通しの小幅上方修正を検討するほか、24年度(1.6%)も2%近くに引き上げる公算が大きいという。年末で流動性が低下している中、ドル円は急落した。

執筆者 : MINKABU PRESS
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